プレゼントの箱の中身は
サンタは無事にやってきたようだ。
尋ねた6人のうち一番まともな返答をよこした同僚の意見を採用し、クリスマスにはピアスを送った。つけているところは見たことがなかったが穴が空いているのは知っていた。耳をしゃぶるときそこを舐めてやると悦ぶ。人に施す愛撫は本人も心地の良いところなのだろうと思い、私にするのと同じようにしてやると反応がいいので楽しい。彼は割と気持ちよくなれるところが多いのでやっていて楽しいが、最初から快感を拾う事ができる場所ばかりでもないので、そう躾けた人間がいるのだと思うと少し思うところもあるが。彼が経験豊かなのは私には幸いでもあるが、少しばかり妬けてしまうというものだ。こういう感情があるというのも、つい最近覚えた。いや、正確には感じたことはあったのだが、彼に対しては簡単にそういった感情が湧き上がることを覚えたとでもいうべきか。らしくもなく独占欲を晒している。そんなつもりはなかったんだがな。
見える位置に印をつけたい、などと思うことになろうとは。いや、もともとは「何か身につけられるものがいいんじゃないか?」と提案されたのに従おうとしただけだ。寒いからマフラーとか手袋なんて定番だし、アクセサリーを送るのもいいかも。関係性とか相手のファッションの趣味にも寄るかなぁ。そんな事を言いながら奥方に贈られたという上品な深い赤のマフラーを見せてくれた。結局は何をもらうかより誰からもらうかが大事だとは思うけど、村雨が選んだならきっとなんでも喜んでくれるんじゃないかなぁ。人好きのする顔でそう言ってのけるのでなんとなく納得してしまう。流石人誑しなだけはある。
選んだのは小粒の赤い石が光るシンプルなピアスだった。カフスも考えたが、あまりしているイメージがなかった。いや、ピアスもイメージ自体はないが、つけて欲しいと思ってしまった。店先で選ぶとき、始めは彼のイメージで黄色い石を探していた。けれどケースに並ぶ石を眺めて、気づけば赤い石を選んでいた。わかりやすい独占欲に我ながら笑ってしまいそうだ。自分の色をまとってほしいなどと、あからさまがすぎる。
ベッドの上で靴下の中身を確認して少し泣きそうになっていた良い子を抱きしめて。箱の中身を確認されるのが少しだけ恐ろしかった。自分がそんな感情を持つことができることに驚いた。喜んで欲しい、という気持ちとともに、期待した反応がかえらなかったら、と一瞬でも考えてしまうことに驚いていた。緊張などというものは無縁なつもりでいた。そんなことはない。私もそこいらの凡夫と何も変わらない、恋に落ちたマヌケだということを良く理解した。
尋ねた6人のうち一番まともな返答をよこした同僚の意見を採用し、クリスマスにはピアスを送った。つけているところは見たことがなかったが穴が空いているのは知っていた。耳をしゃぶるときそこを舐めてやると悦ぶ。人に施す愛撫は本人も心地の良いところなのだろうと思い、私にするのと同じようにしてやると反応がいいので楽しい。彼は割と気持ちよくなれるところが多いのでやっていて楽しいが、最初から快感を拾う事ができる場所ばかりでもないので、そう躾けた人間がいるのだと思うと少し思うところもあるが。彼が経験豊かなのは私には幸いでもあるが、少しばかり妬けてしまうというものだ。こういう感情があるというのも、つい最近覚えた。いや、正確には感じたことはあったのだが、彼に対しては簡単にそういった感情が湧き上がることを覚えたとでもいうべきか。らしくもなく独占欲を晒している。そんなつもりはなかったんだがな。
見える位置に印をつけたい、などと思うことになろうとは。いや、もともとは「何か身につけられるものがいいんじゃないか?」と提案されたのに従おうとしただけだ。寒いからマフラーとか手袋なんて定番だし、アクセサリーを送るのもいいかも。関係性とか相手のファッションの趣味にも寄るかなぁ。そんな事を言いながら奥方に贈られたという上品な深い赤のマフラーを見せてくれた。結局は何をもらうかより誰からもらうかが大事だとは思うけど、村雨が選んだならきっとなんでも喜んでくれるんじゃないかなぁ。人好きのする顔でそう言ってのけるのでなんとなく納得してしまう。流石人誑しなだけはある。
選んだのは小粒の赤い石が光るシンプルなピアスだった。カフスも考えたが、あまりしているイメージがなかった。いや、ピアスもイメージ自体はないが、つけて欲しいと思ってしまった。店先で選ぶとき、始めは彼のイメージで黄色い石を探していた。けれどケースに並ぶ石を眺めて、気づけば赤い石を選んでいた。わかりやすい独占欲に我ながら笑ってしまいそうだ。自分の色をまとってほしいなどと、あからさまがすぎる。
ベッドの上で靴下の中身を確認して少し泣きそうになっていた良い子を抱きしめて。箱の中身を確認されるのが少しだけ恐ろしかった。自分がそんな感情を持つことができることに驚いた。喜んで欲しい、という気持ちとともに、期待した反応がかえらなかったら、と一瞬でも考えてしまうことに驚いていた。緊張などというものは無縁なつもりでいた。そんなことはない。私もそこいらの凡夫と何も変わらない、恋に落ちたマヌケだということを良く理解した。