スレ一覧
┗
381.「切り傷」
┗5
5 :
狼/谷/吊/戯(サ/ー/ヴ/ァ/ン/プ)
2025/02/16(日) 00:55
「枕元で、絵本を読んで欲しい。」
「いい子、いい子と、頭を撫でて欲しい。」
なつやすみのにっきは、まいにち、まいにち、なにを書いたらいいのかわからなかった。
まいにちひとりで家にいるだけ。まいにちひとりで壁を見つめて、まいにちひとりでご飯を食べて、まいにちひとりで布団にくるまるだけ。盾ちゃんのたのしいなつやすみを書きうつしたところで、おれのなつやすみにはなんにもなかったんだ。
日が暮れるまで、お父さんとキャッチボールをした思い出も、ひなたぼっこをしながら、お母さんの家事を手伝ってあげた思い出も、どれもこれも、たったのひとつだって、あるわけないのに。うそをついても、思い出をかたっても、空っぽは埋められないのにね。
──オレ、ばかだったなあ。
「優しく抱きしめて、愛しているよと言って。」
「私はあなたの、──。」
[
削除][
編集]
[
戻る][
設定][
Admin]