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448.そのひともじを
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道/誉/一/文/字(刀/剣/乱/舞)
2025/04/10(木) 02:39
言祝ぐ。
らしくもなく真新しい日記帳の頁を捲ったのは、思わぬ言祝ぎを受けたからに他ならない。 口は回る方だと自負しているし、報告書を記すのは得意としているがねえ。客観的なデータも数字も無い、自分の心情を記しておくだけの……言うなれば自己満足に過ぎないそれを作る事で得られるメリットと、可能性として生じるデメリットを天秤に掛ければ後者に傾く。 ゆえに、だ。伝え切れず着々と積もり積もって行く感情と言葉の残滓を残す先として考えはしたものの、重いと厭われるのを恐れて一度は却下した。内々で上手く片付けようと思っていたとも。今日、あの瞬間までは。
熱烈なラブレターだった。それはもう、衝撃的な程の。記念日にそんなものを寄越すような、そういうタイプではないだろう、話が違う──と大いに狼狽えながら受け取ったそれが、どれ程俺を幸せな男にしたか。 こういう事をする重さは好かなかった、と告げる姿に矢張りそうか、迂闊な真似をしなくて良かったと思ったのが半分。残る半分は、そちらがそう来るのなら俺も重くなって構わないなという開き直りだ。
そして今、この真新しい日記帳を開いている。
差し当たり今暫くは俺からこの場を告げる気は無く、記した文字があのうつくしい白藍に映る日がいつになるかは知れない。…ただ、まあ。俺の言葉をいっとう好むあなたの、いつかの暇潰しにでもなれば良い。そう思って記すとしましょう。 これは俺からのラブレターだ。共に在る今日に感謝を。受け取ってくださいよ、ダーリン?
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