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448.そのひともじを
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8 :
道/誉/一/文/字(刀/剣/乱/舞)
2025/04/15(火) 21:25
花明り。
「あるじさまへの報告はわたくしが。叔父さまは花を愛でに行かれるのでしょう?今宵はどちらの花が主役なのかしら」
「気を遣わせてしまったかな。……おや、それはどの花の話だい?」
「ふふ、わたくしではない二つ」
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出先の桜が若い緑を混じらせ始めていた。部屋から見える桜は八重の品種で遅咲きだが、花見をするならそろそろ頃合か…と誘いを掛ける前に、向こうから声が掛かって少しばかり笑う。
明日は珍しく二振り共に非番で、花を愛でながらゆっくりと過ごせそうだ。となれば気は急くものでね、予定よりも早く行軍を終えて主への報告に向かおうとした俺に薔薇から手向けられた言葉がこれだ。
散る前に夜桜でも愛でようか、とは出陣の合間、雑談程度に話しはしたがね。したり顔で紡いだそれには明らかに含む所があるな?全く、俺を揶揄って愉しむのだから困る。
どちらが、か。さて、どちらだろうな。勿論この夜を照らすに相応しく咲き誇る方を主役と定めている……とでも返しておくかい?
俺の花は膝上に抱え込まれての観桜を御所望だ、戻られるまでにブランケットでも用意して来ようか。
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