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448.そのひともじを
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道/誉/一/文/字(刀/剣/乱/舞)
2025/04/17(木) 10:33
昼想夜夢。
夢、というのは人の身に与えられた特権だ。
先の未来に描くタイプのそれではなく、夜…に限らず睡眠をとっているうちに見る方のものの話さ。どうも脳が蓄積した記憶の整理として行う処理の過程で発生する事象らしい。当然、本来ならば肉体を持ち得ない俺達が経験するものではない。
本丸にも数振り居る、眠るのが苦手な個体だと言う訳ではないとは思っている。寝付きは良いし、眠る事それそのものは嫌いではない。ただ、時折見る夢。その夢見だけが頗る悪い。
眠る前に考えていた事、気懸かりな何か。反省点、その日犯した失態。それらが覿面に反映されて出ていると気付いたのはいつだったか、分かった所で対処出来るものでもないがねえ。
だから、夢というものは好まなかった。
内容によっては寝覚めが悪く、疲れが取れた気がしない。目覚めて最初に思うのが夢で良かった、という安堵になるのも些か癪だ。人の身を得て一番面倒なのはこれかも知れないとすら思っていたものが、あなたと過ごすようになってぴたりと止んだ。
毎晩抱えて眠っている体温のお陰か、寝入るほんの間際まで言葉を交わし、あなたの事ばかりが頭にある状態で寝入るからか。どちらにせよ、魘されるような事が無くなった。本当に、一度も。
あなたは俺の寝顔を稚いと言う。険が取れて幼い印象になるのだ、 と。
勿論俺に自覚は無いし、実の所どんな顔なのか…というのも知りたいような知りたくないような心情ではあるな。…ただ、そんな無防備な顔を晒して寝ているのだとすれば。その顔はそれを可愛いと告げるあなた自身が作り出したものだ。
夢渡りの逸話など無くとも、俺の愛しいひとは悪夢すら斬り払ってしまう。奪われた悪夢の代わりにあなたが夢に出てくれれば、とは思わなくもないが…お互い夢の中の自分にも妬くだろうから、これで良いのかも知れないな。
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