団長の船に乗ってるあの猫と同じような名前の嵐が来てるらしいって聞いて、あー、だから何となく身体が重い感じがすんのか、って納得した。今日の依頼はどこの空域だろうな、って思いながら窓の外を眺めてたらランちゃんに笑われた。誰の事を考えてるのかすぐ分かるぞ、って。仕方ないよなぁ……疲れて帰ってくるだろうあの人の為に元気が出るご飯でも作るかな。
人の話を聞いて、自分の過去に思いを馳せる。
小さい頃は泣き虫でさ、すぐに泣かされて何にも出来なかったんだ。強くなりたい、って思ったのはいつだったか、ランちゃんが騎士になる、って決めた頃だったかなぁ。俺も誰かを守れるように、強くなりたいって思った。
時間はかかっちまったけど、今こうして立っていられるのは、俺を支えてくれたり信じてくれたりした人のおかげだな、って強く思うよ。
勿論、ジークフリートさんが俺を弟子にしてくれて鍛えてくれたって事も大きな要因の一つだぜ。憧れてたんだ、あんたは俺の事なんて知らなかっただろうけど、俺がただの騎士見習いの頃から、ずーっと。ひたすらに強くて格好良いあんたの背中を見つめてた。
少しだけセンチメンタルになったのは昼寝した時に見た夢のせいかな。ジークフリートさんも帰ってきたし、ご飯にしよ!
>今日のご飯
ドラッヘントラウトのキッシュと南瓜の冷製ポタージュ。
初めて会ったその時に、あんたに抱いた印象。
>今日のご飯
卵たっぷりオムライスに、キュウリとトゥナのサラダ。明日の朝は何にしようか。
ジークフリートさんの匂いがするものが欲しくて探したけど、しっくり来ない。俺と付き合うようになって香水の類を付けなくなった、と聞いたけどいい匂いがするんだよな。最近は俺ん家のシャンプーの匂いがするけど、そうじゃなくて。それからジークフリートさん自身の匂いが好きなんだな、って気付いたのはつい最近。
今日は帰りが遅いみたいだから、ジークフリートさんのシャンプーを借りて俺があんたの匂いを纏いたい。ついでにベッドのシーツはちゃんと取り替えて干しておいたからふかふかだぜ。
こんなに一日一緒に居たら、明日が来て欲しくないなんて思っちまうよ。
前の日の夜から次の日の夜まで誰にも邪魔されないで二人きり、っていうのは付き合い始めてから2回目でこの日を楽しみに頑張ってきたようなとこあるよな。