ブルーベリーのジュースを飲んで何となく、花言葉を調べてみた。図書館にいると珍しいなって顔をランちゃんにされたけど、俺だって資料を調べたりするのに使いますー!って言ったら笑ってたっけ。
それで、調べた結果「実りのある人生」「知性」「信頼」「思いやり」 って言葉が出てきて、ふっとジークフリートさんを思い出した。なぁ、今さ、幸せ?なんて脈絡無く聞いたら驚かれるかもしれないけど、聞きたくなった。
いつもの優しい笑顔で頷きながら抱きしめてくれるかな、なんてさ。
……めちゃくちゃ会いたくなっちまった。昨日寝落ちしちまったからだろうなぁ。寝る間際何言ったか覚えてないもん。
>今日のご飯
お肉たっぷりミートソースパスタにドラッヘントラウトを乗せたサラダ。デザートにレモンケーキを添えて。
青果店のおばちゃんからレモンを貰ったけど、蜂蜜に漬けるだけとかレモネードにするだけじゃ勿体ないしレモンケーキ作るか!って思いつつ今日は非番じゃなかったのを思い出してとりあえず冷蔵庫に突っ込んどいた。帰ったら夕食の仕込みをして、それから取り掛かるかぁ。早めに帰れたら良いんだけど。日持ちする様に作るから数日に分けて食卓に出すかな。ジークフリートさんが甘酸っぱいの嫌いじゃないと良いな。
どうやら寝そびれてしまったらしい。身体は休息を求めているのに、脳だけが活発で、今日得た知識を整理する為の睡眠という作業に移りたいのにそれを許してくれない。明日の朝後悔するのは自分自身だが……?
隣を見ると健やかな寝息を立てる唯一無二がそこに居て、緩やかに上下する胸板に生きている事を実感してそっと耳を当てて、心音を聞く。
確かに脈打つその拍動に感動を覚えている自分も居て、どうかこの穏やかな時間が永遠であれば、と希って居る。
……そろそろ寝よう。夢の中でも、その姿が見たいと願うのは愚かだろうか。
団長の船に乗ってるあの猫と同じような名前の嵐が来てるらしいって聞いて、あー、だから何となく身体が重い感じがすんのか、って納得した。今日の依頼はどこの空域だろうな、って思いながら窓の外を眺めてたらランちゃんに笑われた。誰の事を考えてるのかすぐ分かるぞ、って。仕方ないよなぁ……疲れて帰ってくるだろうあの人の為に元気が出るご飯でも作るかな。
人の話を聞いて、自分の過去に思いを馳せる。
小さい頃は泣き虫でさ、すぐに泣かされて何にも出来なかったんだ。強くなりたい、って思ったのはいつだったか、ランちゃんが騎士になる、って決めた頃だったかなぁ。俺も誰かを守れるように、強くなりたいって思った。
時間はかかっちまったけど、今こうして立っていられるのは、俺を支えてくれたり信じてくれたりした人のおかげだな、って強く思うよ。
勿論、ジークフリートさんが俺を弟子にしてくれて鍛えてくれたって事も大きな要因の一つだぜ。憧れてたんだ、あんたは俺の事なんて知らなかっただろうけど、俺がただの騎士見習いの頃から、ずーっと。ひたすらに強くて格好良いあんたの背中を見つめてた。
少しだけセンチメンタルになったのは昼寝した時に見た夢のせいかな。ジークフリートさんも帰ってきたし、ご飯にしよ!
>今日のご飯
ドラッヘントラウトのキッシュと南瓜の冷製ポタージュ。