ジークフリートさんに、「俺のヴェイン」って言われる度にゾクゾクする。確保。
「来月のこの日は空けられるか?」
そう聞かれてカレンダーを見て、多分大丈夫だと答えたら海に行こう、って誘ってくれた。そりゃもう喜んで賛成してランちゃんに希望休を入れる相談をしたらOK貰えたから今から楽しみで仕方がない。
海に行く前に、ジークフリートさんの水着とか見繕っておかないと。今回は泳いだり観光したりがメインになるだろうしちょっと洒落た奴でも構わないよな?なんだって似合いそうだし……この際だから南国で過ごせるバカンス用の服も買っちまうか!楽しみだなぁ。
何もしてあげられていない、と言うけど俺はたくさんのものを貰ってる。
愛情、これは言わずもがな、まるで包み込むように、時々激しくて火傷しちまいそうなくらいのものを毎日貰ってる。
安らぎ、朝起きて、夜寝るまで。依頼とか任務とか遠征とか、そういう時以外は俺のそばにいてくれるから、俺はあんたの傍がいちばん安心する場所になった。
情熱、俺を見る目に火が灯る時に、心臓が焼き付くみたいな感覚がしてドキドキして堪らなくなる。いつだって俺を欲しいと言ってくれるその目が、好きです。
信頼、約束は必ず守ると知っているから、俺は心ごとあんたに預けてる。全部預けてるんだ。
未来、これから先、絶対に離れたくないって思うくらいに、俺のこれからにはあんたが必要で仕方ないって思うくらい、あんた無しで生きて行けなくなった。
もっと沢山貰ってるけど、俺は語彙が少なくてなんて言ったらいいのかわかんないくらい感情がたくさんある。ぜーんぶまとめて、あんたが好きって事です、ジークフリートさん。
口に馴染み始めた名前。音にして聞いて、こっちを見てくれる琥珀の瞳。愛おしい、って色が滲むのが見える瞬間が好きなんだ。
なあ、あんたを好きな人は多分、沢山いる。ランちゃんだって、パーさんだって、団長やルリアやビィくんもジークフリートさんのことが好きだよ。だけどな、一番あんたを好きなのは俺がいい。そこだけは譲れない。帰ってきたら一番に、その声で俺の名前を呼んで欲しい。気を付けて、無事に帰ってきてな。
朝には煩いくらいに聞こえてきてたのに、気温が上がるとだんだん聞こえなくなるなってきて、蝉も夏バテしてるのかな、なんて思った。
今日もジークフリートさんはちょっと遅くなるらしいから、今日は涼しくサラッと食べられる夕飯にしようっと。