基本的に俺の方が早く帰ってきたりすることが多いから、ジークフリートさんを家で待ちながら家事とか次の日の仕事の準備とかしてるんだけど、帰ってくる時の玄関のドアが開く音とか、外の空気と一緒に入ってくるのとか、出迎えた時に瞳が優しく緩んでいくのを見るのとかが好きなんだ。今なんか暑いからさ、鎧兜外したら汗が滝のように出て来たりするし、その時にすぐにお風呂に入れるようにしたり、タオルを渡せたり、……世話を焼きたいなーって、自分よりも年上の男なのにそう思っちまうんだ。それを許してくれるのがたまんないな、って。大人の男の包容力ってやつ?でも、たまに可愛いとこも見せてくれるから、今日もまた惚れてるんだよな。
夏の花だとすっごく派手になりそうだけど、小さい頃にランちゃんに作り方を教えてもらったのを思い出して、揃えた材料で丁寧に編んでいく。
ひまわり、小さめの白バラ、ブルースター。黄色と白と水色の色合いは夏にピッタリで、何となく、ジークフリートさんの鎧掛けの兜の部分に出来上がったものを被せておいた。ジークフリートさんに被せるにはちょっと可愛いかな、と思ったけどあんたならなんでも着こなせそうだしどんな花でも似合いそうだな……。
な、今度こそデートでジュエルリゾート行こうぜ。その時はちょっとお洒落とかしてさ。ジークフリートさんの髪は俺が結ってあげるからどう?返事が早く聞きたいから、早く夜になってくれないかな、って焦がれて待つ時間も、悪くない。
聴覚が鋭敏になって良かったことは、ジークフリートさんの声がいつもよりずっとよく聞こえたこと。
グランサイファーに乗って、団長達と依頼を受けに行ったんだけど……その騒動の大元にいた星晶獣の最後の足掻きを受けちまって、俺の頭にエルーンの耳が生えた。髪の色よりも少し濃い毛色の折れた垂れ耳。パーさんから本物の駄犬になったなって皮肉言われて悔しかったけど、油断してたのは確かにそうだからなんにも言い返せなかった。
ジークフリートさんにはバレたくない、確かジークフリートさんも依頼受けてて帰ってくるのはまだだったよな、なんて思ってたのに、帰り道に居るんだもんなぁ……会えるのは嬉しいし、本当に嬉しいんだけど、今はちょっと、困る。
もちろん隠し通せるはずもなくてしっかりバレました。
ジークフリートさんとは話してたんだけど、エルーン族の服ってすごいよな、って思ってさ。背中すごい空いてるだろ?男も女も関係なくさ。あれ、夏の陽射しに日焼けして痛くなりそうって思ったけど、俺の服より涼しそうだなーってちょっと羨ましい。