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24時間先輩
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14 :
宍戸亮
2016/11/30(水) 12:54:21
#学園祭
「ええ、確かに江口は俺のクラスメイトですよ。」
ゴージャスカフェの奥側の席に俺と若は向かい合うようにして座っていた。
テーブルの上には紅茶とゴージャスカフェのメニュー候補「サツマイモと栗のモンブラン風タルト」の試作品。勿論、いずれも樺地がその道の一流の人間の技をコピーして作ったものだ。この一芸だけで、奴は世界を掌握できると割と冗談抜きで思ってる。しかしそれをしない謙虚(?)な所を跡部は気に入っているのだろう。
「…居たっけ。あんな奴。」
「居ますよ。転校して来たんだか下から上がって来たんだか…覚えてませんけど。」
「何だそりゃ…」
「とにかくクラスメイトです。」
「それだけかよ?」
「はい」
「他に無いのか?普段どんな奴だとか、長太郎とは面識があるのかとか、長太郎の追っかけの一人なのかとか、幼稚舎の頃アタシ長太郎と結婚する!みてえなことを言ってたかとか…」
「いつもの事ながら、やたら鳳を気にかけていますね」
「……そうか。お前には話してなかったな。」
「今の流れで8割察しがついてるんですが。まあ聞くだけ聞きましょう」
そこで俺は少し黙り、深い息を吐いた。心の内を努めて冷静に目の前の後輩に伝えるために思考の整理を始めた。モンブランを一口、口に運ぶ。一流シェフの味をコピーしているだけあって流石に美味い。学生の手習いの域を超えている。お袋が誕生日とかにデパ地下で買ってくるそれだ。贔屓目を抜きにしても、今回の学園祭の模擬店が商品のクォリティだけを競うものであれば恐らくぶっちぎりで優勝するだろう。
「…アイツは長太郎に気があると思う。考えてもみろよ。ここ数日の長太郎に対するあの態度。鳳くん♡とかいう馴れ馴れしい呼び方を。あれは学園祭にかこつけて長太郎と嬉し恥ずかしな思い出を作るつもりに違いない。俺はな、あんなポッと出の得体の知れない女に長太郎は渡せねえ。だが俺も男だ。長太郎も男だ。彼女の一人や二人作ってみたいって気持ちを長太郎が持っているのだとしたら、理解してやりたいと思ってる。俺はな、ダブルスパートナーとしてだな、長太郎が江口といずれつ…つつっ…とぅ…とぅきっ…つきあっ……」
「宍戸さん。落ち着いて下さい。」
「お、おう…ワリィな。」
若に窘められ、俺は紅茶を啜った。薫り高いアッサムだった。
>「アールグレイ……です………ウス。」
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