ある程度広いやろと勘違いしとった俺の心は、
皮を剥いでみると恐らく実は人並み以下やて
日々気付かされて戸惑いに飲み込まれとる。
忙しさを疑う余地も意味もあらへん。
言葉も仰山くれとるし、毎日挨拶も交わしとる。
分かっとる筈なんに、曇り空のよに心を覆う
灰色の靄をどないしても払えへん。
ほんまは常に晴天のよな晴れ切った心で居りたいんに、
簡単に曇る自分の心と不安に向き合えへん
そないな自分を見せたなくて逃げたなる。
財前はある意味俺とは反対で、
逃げんと心を覆う靄を正面から曝け出す。
せやけど受け止める過程で垣間見える
財前の靄の正体は俺のそれと似とって、
財前の心の大きな波に身体は抗うふりして
内心はどっかで安心しとる。
好きな子を使う最悪な靄からの逃げ方や。
きちんと自己解決の方法を見つけなあかん。
(せやけど軟膏は買うて来てや、絶対切れたで)