日記一覧
春暁の微睡み
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39 :手塚国光
2016/11/25(金) 13:46:04

開けてはならぬ壺を解いた時、最後に残されたのは希望だった。
全ての悪を封じたその壺に何故希望が隠されていたのかと、神妙な面持ちで問われる。

掘り下げてみれば、希望を抱く事が必ずしも正善とは限らない。
人間にとっての希望は善の様であるが、時として諦めの勇気を阻むと云う反面も持つ。
過度の期待を寄せ、無謀に望み願う事は、己を見失わせる要因に成り兼ねない。
諦め癖を付けろとの意味では無く、固執し過ぎない事が肝心だ。
さもなくば渇求し彷徨の果てに足を掬われるだろう。
希望と云う言葉は、要するに、捉え方次第で前後不覚に陥らせる最悪の災いとも呼べる。

そう答えると、彼奴は呆れとも安堵とも取れる息を吐いていた。

(2,11)

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