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98 :丸井ブン太
2016/01/23(土) 09:33:01

> 「    濡鼠    」
# それは四年前の夏の日。
待ちに待ったプールの授業の時だった。先生の指導を受けながらの水泳を学ぶ時間は興味なかった。それはきっと俺だけじゃなくて、授業に出てた皆が思ってた事だ。待ち切れなかった。後半の自由時間が。

ひたすら25メートルプールを決められた泳法で泳がされ続けて、ようやく訪れた至福と憩いの時間。男子が挙って群がるのは、ビート板と同じ素材で出来たバカみたいなでかさの浮島。あらゆる手(大概じゃんけん)で勝ち取ったそいつをプールの水面に投げ入れると、後は如何にして上の部分に乗れるかの大会が自然発生する。

俺の天才的な運動能力を持ってすれば、簡単に浮島の上に一人仁王立ちの状況を作る事が出来た。あっぱれ俺。さすが俺。男共は俺を見て丸井相手ならしょうがないと瞳に悔しさの色を滲ませながら、それでも潔く敗けを認めて浮島を押してくれる様子がめちゃくちゃ気持ち良かった。そんな達成感の心地に浸っていた俺が、次に味わったものは。

# 鼻の奥を襲うツーンとした刺激だった。
まさかの裏切りで浮島の周りにいたヤツらの一部によりひっくり返され、挙げ句に運悪くキレイに浮島の下敷にされたのだ。栄光の歓喜に酔いしれる時間の余裕すら与えられる事なく、一瞬で獲ったどー!された俺の一夜城。今よりガキの頃のほろ苦い思い出は、尚もまだ、俺の記憶を鮮やかに彩ってる。

ただ、これをこうして思い出す切っ掛けが、顔洗ってる最中寝惚けた親父に後ろからはよーっ!と軽快に頭を叩かれて、勢い余って手に掬ってた泡流す水を鼻から吸い込んだ事で起きた悶絶級の痛みっていうのが、悲し過ぎて何も言えねえ。グレーのスウェットまでびっしょりでこれが本当の濡れ鼠ってかバカ野郎。つまんねえ事考えた所為で鳥肌止まんなくて折角の休日が最悪のスタートを切りました。

かくして親父のエロ本の隠し場所は漏れなく母さんに露見する事となったとさ。

# >>73,00 title「濡鼠」

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