(茶色の紙袋に入った其を手に抱えて帰宅し、待って居るで有ろう相手の姿を確りと眼に写せば緩々と次第に頬を緩ませて相手の隣に腰掛け。袋の中から直角三角形の形に切り取られたカステラとおぼしき物に挟まれた薄紫――否、羊羮と思われるものが挟まれたそれを相手の前に置けばその名前を言って見せて)シベリヤ。

( 背後透過 / 半完、多々パロディ混合 /愛称使用やその他偏見在る方御注意 )

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哲学の真似事を語る頁。僕が苦手な数式の座学に準えると、人生は「誕生」と云う地点から始まる。そして終点が分からない二点間の距離を走り続ける僕達は常に恐怖を肌に感じながら歩みを進める。何時死ぬか分からない此の距離は怖くて堪らなくて、そして恐ろしい。だかしかしその途中で沢山の人に出会って、友情を築いて、誰かに恋をする。一緒に歩む人を見付ける。

僕は、其が恐ろしい。その人を失って仕舞うのが怖くて、離れたくなくて。君の側から離れたくないのに何時か別れが来てしまうのが怖い。ジャン……好きだ、だから君を失うのが怖いよ。

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久し振りに手に取った懐かしい日記。あの時は未だ未だ子供だったんだと思い知らされてる気がする。

ジャン、元気？僕は元気だよ。

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このシベリヤも随分と埃を被って口にするのは酷く難しい事になったね。一から遣り直してみようか。

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まさか、あれが君だったのなら。どうしようと、今視線が泳ぐ。新しくカステラの焼ける匂いが仄かに漂う。僕はまだ、…未だ？