最近の私は暴走している。
その理由は、エレンが余りにも…甘いからだ。
そう、エレンが私に甘い。
あの、私が好きだと言い続けていたのを受け止めてくれるのみだったエレンが。

…恥ずかしい話だけど、一方的に想うのに慣れていた所為なのか私は未だにエレンに想いを返されるのに慣れていない。
嬉しくて、毎回死にそうになる。

そんなに私を付け上がらせないで欲しい。
貴方が思うより私はずっとずっと貪欲で
独占欲も強ければ自分から聞いた過去話に嫉妬してしまう。
ちょっと嫉妬した、なんて嘘だ。
凄く嫉妬した、なら私には今直ぐに好きと言いなさいと強要しようとした。

…エレン、私はこんなに心が狭いの。

久し振りの一人の夜だ。
ここ最近はずっとエレンと居たから、…胸に穴が空いたよう。
今私の視界から色は消えている、
エレンが居ないとこの世界は白黒だ。
途端、酷くつまらなく感じて、冷めてしまう。


寒い。寒いのは嫌いだ。

けれど、私を温かく出来るのはエレンだけ。
…エレン、本当に貴方は自分の価値を知った方が良い。


そういえば、今日エレンが私が語る言葉を見てみたいと言っていた。
…気が向いたら考えよう、と答えた。
実は、既に貴方の事しか書いて無い手記ならここにあるのだけれど。

今日は、貴方を想った時の事を書く事にする(今日は、オレが恋を自覚する迄の話を少ししよう)
私は家族だった、最初は家族で居られるだけで良かった。…それが楽だったから。(オレは犬で居る事に安心していたんだ、それが一番怖くねぇから、臆病者の居心地の良い居場所だった)
だから、私は貴方を喜ばず為なら何でもしたかったの。(だから、オレは貴方を純粋に飼い主として喜ばせようとした)
そうしたら、エレンが言った。家族とはそうじゃないだろう、と。(そしたら貴方は言いましたよね、そんな事はするな、お前とは対等で居たい)
今考えると、エレンはああ言うべきじゃなかった(今思うと、純粋に犬として可愛がりたいならオレにあんな事を言うべきじゃなかったんですよ、兵長)
でも、それが貴方の不器用な優しさだったと思う。(でも、それが貴方の不器用な優しさだったと思う)
私は、そんなエレンにいつの間にか惹かれていた。
(先ずは、貴方のそんな不器用さに惹かれたんだ)

家族の在り方を諭されたあの日、私は戸惑った。期待を裏切ったのではないだろうか、と怖くなった(嬉しい反面、俺が思う犬では無いと言われた気がして…嗚呼、また仕出かしたなんて思ってた。同時に諦めてもいたんだ、思う事は伝わり難い、なんて)
臆病な私は進む事も戻る事も出来ずに居た。(あの時、始めて朝の挨拶に行く事を躊躇った。…一ヶ月傍に居ますが、あの日だけオレは挨拶に行けませんでした)
エレン、あの時、貴方から私に会いに来てくれたのを覚えてる？そして、真摯に向かい合ってくれた。(兵長、あの時、貴方からオレに会いに来てくれましたよね？そして、罵倒する訳でも無く、優しく諭す訳でも無く、不器用だけど真摯に声を掛けてくれましたね)
その時に分かった、エレンは私の声を聞いてくれる人、なんだと。背を向けずに先ずは耳を傾けてくれる人だ、と。(それがオレにとってどれだけ嬉しかったか。ここだけの話、…貴方は少しだけ似ていたから。けれど違った、全然違う。貴方は真っ直ぐ人を見る人なんだって、分かったから)
私の中の、氷が溶け始めた瞬間だった。(オレの中の、心臓が久し振りに高鳴った瞬間だった)

…愛しくて仕方無い。
ここ迄、心臓を直接掴んでくる事が出来るのをエレン以外に知らない。
草臥れたなんて、私はそんな貴方が欲しくて仕方無い。

恋をするとその人の目は盲目になる、私はあまりそう成りたく無い。盲目になると好きな人も周りも見えなくなる、好きな人が見えなくなると自分の理想を押し付けたり、するかもしれない。
…そうしたくは無いから。

しかし、特別な人を特別扱いしてしまうのは当然だろう。私もエレンは特別扱いをする。

そんなエレンを冷静にみても魅力的だと、思う。私は、どうだろうか。
エレン、私は貴方にとって惹きつけられる魅力はあるの？
貴方の過去には、きっと私に似た人物が多く居たかもしれないけれど、…その中で一際輝けるモノは何かあるか、…気になってしまう。