---> W：HE：RE？







友人と恋人の違いって何なんだろう。
女性は女神だ。美しいし、きっとオレのこの薬指から伸びる赤い糸の先には、オレだけの運命の女神が待っているに違いない。ウン。由孝信じてる。
ただそれとは別に、異性の友達という枠組みも存在している。二人で遊ぶし、飯食うし、何なら泊まって同じ布団で寝る。
小堀には「純粋なんだな」と苦笑され、笠松には「世間知らず」と怒られる始末。フム、解せん。由孝は激怒したぞ。走り出さないけど。果たして、世の中はそこまで性別を意識しているのか？
性別が違うだけで、同じ友達じゃないか。

---> 五：月の：蝿





被虐待児は親から逃げるという選択肢が無いらしい。昼間っぱらから何の話かって？隣のマダムの世間話に耳澄ます話だよ。毎日暴行や罵詈雑言の中なのに、子どもは親に縋り付くしかないらしい。そして親も自覚は無い。施設に措置され引き離されると、子は脱走し親は怒鳴り込みに来るんだとか。歪んだ愛情や執着心の終着駅は酷く臭う。
でも、分からなくもないかもしれない。だって親だぜ？子どもにとって親は絶対的で、世界で、神様だ。神様にどんなことをされたって許すしかないし、愛を請うし、縋るだろ。

「神様、ごめんなさい、ボクが悪い子だから、ごめんなさい、だから、どうか、」
その家の前を、イヤホンで流行りの音楽にノりながら通り過ぎるんだ。きっと、な。

---> 空っ：ぽの空に：潰され：る





時折、逃げ出したくなる。脚が勝手に走り出すんだよ。あんまりにも衝動的で強制的だから、オレはどうすることも出来ない。何てのはきっと現実逃避を自分以外の何かのせいにしたい我儘さ。責任の擦り付け。

そう言えばこの前、友人に顔を叩かれた。「森山は狡い」と涙を流しながら、鼻水を垂らしながら。でもね、オレはお前が羨ましいよ。他人に期待出来ることも、誰かを愛せることも、愛されたいと素直に寝返ることも、誰かの特別を欲しがることも。その純粋な素直さはオレには多分無いんだ。
喉元までせぐりあげる言葉を飲み込んで、「ああ、そうかい」「でも所詮これは、お互いに無い物ねだりだろ」なんて皮肉を零してしまう。小さな声で。だから聞こえていなければ良いんだけど。
だって彼奴は自分が正しいと信じてるんだ。水を差すのは可哀想だろう。

結局誰しもが無い物ねだり。勿論、オレもな？

---> 星が：瞬くこ：んな夜：に





ハァ、と息を吐いたら白く霞む。寒いのは苦手だけど、この時期に夜の星が光る頃に走りに行くのは堪らなく好きだ。冷たい息を吸い込んで、すぐに吐き出す。鼻先はツンと冷たくて、頬と同じく少し赤い。冷えた空気を吸うから当たり前に脇腹が痛むが、それ以上に気持ち良い。
脳味噌の整理にピッタリ。オススメするよ。

---> 忘れ：らんね：えよ





会えると期待していた奴が来ないとなると、強いショックを受けないか？
勝手に期待していただけなのにな。
また前みたいに戻れると思ったんだ。