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1037.飛びだせ、シーチキン!(背後透)
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8 :
赤司征十郎
2018/01/31(水) 20:39
気配が、無い。呼んでも近くにシーチキンがいないのが分かる。普段よりも少し遅めに帰宅をすれば玄関先で静江さんが控えめにオレの名を呼んだ。最近になって漸く征十郎さんと呼び方を変えて貰ったはずが…良くない事でもあったんだろう。加えてこの胸のざわつき…何を告げるのか、もう分かっているよ。
シーチキンが呼んでも、もう来ないと。昼の大きな黒猫がここ最近居座って、シーチキンがこの辺り一帯に寄り付かないと言う。それですぐ居なくなるのか。ましてや用意した餌も食べられてしまったとあっては…。気付けば家を出てオレが付けた名前を呼んで辺りを捜す。拭い切れない苛立ちに喪失感、絶望…焦燥感に駆られる。喉の奥で何かが貼り付く、焦りと困惑で首から鎖骨にかけて剥がれ落ちて行く感覚。オレが呼んだらおいでと、あれだけ教えただろう?
心が、冷えて行く。焦る衝動。冷えた空気に胸が苦しい。スーパーブルーブラッドムーン…満月の月明かりはこんなに明るい。何でこんな日に居なくなるんだ。
まぁーん、と…鳴いて返事を。いい子だから…シーチキン。
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