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1082.Without noticing.(背透/R20)
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6 :緑間真太郎
2018/05/13(日) 02:56

 例えば、恋人に会いたいと思っている時。頭の中に姿を思い描いている時。
 そんな折に本人が目の前に現れたなら、舞い上がってしまうのは仕方のない事だと思うのだよ。
 姿を見たい。声を聞きたい。吐息に触れたい。熱を交わしたい。その他諸々の欲が、内に溜め込んでいたものが溢れるような。
 そんな瞬間を幾度となく繰り返している。

 アイツと出会ったのはいつの事だったか。
 思い返せばそう遠くない筈であるのに、もう随分と隣にいる様な気がする。それなのに、いつも焦がれているというのはどうした事か。
 恋というもののメカニズムが良く分からないながら、これが恋に違いないと確信している。この感情がどうして恋と呼ばれるものなのか理由など知らないが、きっとそれをそうと認識出来るものが遺伝子の中に組み込まれているのだろう。
 恋人を見ると高揚する。もっと見ていたいと思う。もっと声を聞きたいと思う。この手でその表情を様々変えてやりたいと思う。
 好きだから。
 酷く一方的で身勝手な感情を、アイツが幸せそうな顔で受け止めてくれるから、それは優しく暖かいものに変わるのだろう。
 汗と体液の混じる様な熱量の篭もる仄暗さの一方、差し出される手の美しく清廉な眩しさ。
 オレの頭の中身なんて、恋をする平均的な男と何ら変わりはないのに。アイツがそれを尊いものであるかの様に扱うから、少しの罪悪感がある。
 恋人が、オレを好きだと言って笑う時、オレはその唇を塞いでしまいたいと考えているし、ただ言葉を紡ぐ姿を傍に見ているだけで常に触れたいと思ってしまう。
 その表情が蕩ける瞬間を。その声が甘く溶ける瞬間が。オレは欲しくて堪らないのだと言ったなら。
 きっと、恋人は羞恥を滲ませて見せながら甘やかに誘いを掛けてくるに違いない。
 或いは恥ずかしいと言って小さくなるのかもしれないが、それが余計にオレを煽る行為なのだとは理解しているのだろうか。
 付け入る隙を晒されて、見逃してやる程優しくはない。
 もっと、アイツの内側に手を触れたいと思う。柔らかい奥まで触れる事が叶ったなら、優しく捕らえて逃がしはしないのだよ。
 丁寧に撫でて、その感覚を繰り返し記憶させて、オレからの愛撫がなくては物足りなくなる様に。

 だからもっと、触れさせてほしい。お前の感触を知りたい。
 繰り返し触れて記憶するのは相手だけではないという事も頭では分かっていたのだが。全く馬鹿な事だ。
 物足りないとより強く訴えているのはきっとこちらの方なのだよ。


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