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146.ネヘレニアの涙ひとつぶ(背)
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33 :
黒子テツヤ
2013/10/02(水) 02:56
夜は真綿に包まれる、ふわりと浮かんだ心地がひどく、昂揚を誘う。
静かに静かに、静謐な空気を震わせないように。
染みひとつない光の水面に、波紋を落とさないように。
ひっそりと呼吸を繰り返す、夜の景色はとても静か。
一歩踏み出せば、足先を凍らせる空気が体温を殺すのに、その感覚すらも心地よく感じて、ひらいた瞼をそっと下ろす。
目を閉じると鮮明になる、小さく夜が響くおと。
道路を行き交う車のエンジン音、どこか遠く、自転車のペダルが回る。
小さな少女が泣いている、夢か現かも定かではないけれど、夜という不思議な時間が、ありとあらゆるものごとの境界を、あいまいに見せている。
瞳を閉じて感じる夜は、とても静かで、物音に溢れていて、たくさんのものが存在していて。
とてもとても、しずかにひびく。
(水底に身を横たえて、吐き出す泡が水面へと、触れる前に消えていく。)
(見える景色は、そればかり。)
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