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327.宛先不明の手紙【〆】
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2013/03/30(土) 05:04

赤司征十郎、


ああ、眠い。

微睡む意識の中、犬が居た。

従順な犬。
誉めれば尻尾を振って喜ぶ。
隠す事の無い好意、おまけに焼き餅焼き。

可愛かった。
此奴は僕無しでは生けていけないだろうと。
餌も水も住む場所も全て用意してあげた。


暗転。


犬、犬、何処行った。
僕が捨てた。
僕も捨てられた。

野良になった筈の彼奴は今でも首輪を付けている。
リードが無い首輪を光らせながら、自分の居場所だった所で鳴く新しい犬を見ている。


適切な距離を探して、行ったり来たり。
近付いて少し吠えて、離れて後悔して。

大丈夫、お前を嫌ったりはしないよ。

この手紙のナンバーと同じ、わんわんと鳴いて御覧。
泣いて、哭いて、啼いて御覧。


お前は相変わらず可愛いね。
何時まで経っても、僕の犬。
一層の事、嫌いになってくれればいいのに。
その方がお前も幸せになれるのにね、…馬鹿な奴。

〆 

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