赤司征十郎、 知らず知らずの内に擦れ違い、想いは何も変わっていないのに二人して不安になって。 普段俺様のお前が僕の心離れを心配した様子はとても滑稽で、普段王様の僕がお前を猜疑した事も酷く情けない。 僕は、愛の言葉が囁けない。 僕という人間がどんな声で、どんな表情で、どんな気持ちで「好き」だと口にするのか想像も付かない。言ったらそれは僕でなくなる気がして…――怖いんだ。例えばこれが涼太なんかだったら素直に言えるだろうにね。告白を受けた時もそう、「好き」と言われる事自体に動揺して聞き返してしまって。ずっと独りだった僕にとって(或いは偽りの想いを囁き続けていた僕にとって)、レンアイは難しい。 気持ちが擦れ違い、愛情を確認し伝えたい時ですら、このプライドが邪魔をする。…ああ、何故。何故言えない。 『オマエはさ、赤司であろうとする意地があっから好きなんだよ、オレは。』 その言葉にどれだけ救われたか、お前は気付いてる? ありがとう、__。僕は未だ、僕のままで居られる。 でも…偶には、必ず言うから。 お前の事が、大好きだよと。 〆 - 25 - |