赤司征十郎、 昨日の敵は今日の友、ではないけれど。 数日前喜んでいた台詞に、今になって縛られるとはね。 理由も無く情緒不安定になるだなんて、一体どういう訳なのか僕自身説明を要求する。彼奴とは仲良く触れ合って話をしていたのに、突然のこの寂寥感は何だ。――『好き』だと言って欲しい、だけど強請るなんて有り得ない。 …は、なんて無様な姿。 寄り掛かる事が出来ない。 そんな存在も居ない。背負うしかない。 何も言わずに見詰めた所で、鈍感な彼奴は気付かない。否、彼奴だからじゃない。言外の想いを汲み取れと、どうしてそんな無茶な事が言える? 正直、彼奴でなくても“今”言葉をくれるのなら誰でも構わないとさえ思う。一時の嘘でいい、彼奴以外の恋人が欲しい訳じゃない。浮気をしたいのではないんだ。 最低だろう。こういう男だよ、オレは。 自分の欲望の為なら他人を平気で利用する。 汚いこの感情、お前はどうか気付かないでいて。 御免、__。 直ぐに元の僕に戻るから。 こんな顔では逢いに行けないね。 〆 - 26 - |