赤司征十郎、 初めから僕達は、御互いに依存した。 「赤司っち!赤司っちー!」 煩く喚くその姿はまるで犬の様。適当にあしらってもめげずに追い掛けて来て、少し優しくすると全力で喜んで。主将として周りの部員に声を掛けると、何時も嫉妬に狂っていたね。お前、僕の友人達にも妬いて、喧嘩をして、覚えてる?でもそんなお前の想いが周りに買われていたりして、同じ学校の知らない生徒達から「二人の事応援してます」なんてファンレターを貰った時は、本当に驚いた。 お前は何時も真っ直ぐで、直球で。 頭で考えがちな僕とは正反対。理解出来なかった。だけど、心地好かった。お前は僕の全てを認めてくれて、僕の全てを愛してくれた。 上から目線で我が儘ばかりな僕の相手を、飽きもせず嫌がりもせず。喧嘩では怒ると言葉を失す僕を、「言わないと何も解ンないっスよ!」と怒鳴った事も有った。普段ヘラヘラ笑うお前の真剣な姿が、新鮮で、嬉しかった。 2年間、毎日一緒にバスケをした。 何気無い事を何でも報告し合って、試合の日には応援して。 数え切れない程言葉を交わした。 数え切れない程愛を囁き合った。 数え切れない程、キスもしたね。 思えば身体の付き合いはそんなに無い。大切にしたいから、と言ったお前の言葉。それだけでもう、抱かれている様な幸せな想いに溢れた。 僕達は近過ぎた。知り過ぎた。 だから、離れた。 高校を変えてからも、忘れる事は出来なかった。雑誌でお前が“昔の恋人が今でも好き”と言っているのを見た時は、震えたよ。何年も、何年も。僕達は新しい恋人が出来ても昔を乗り越える事は出来なくて、全てが“代わり”だった。 昨年の冬、1度だけ約束をして逢った。 僕を見るなり強く抱き締めるお前は、少し大人びてまた格好良くなっていた。馬鹿、少し、緊張をした。 でも「好き!」なんてお前が何の躊躇いも無く言うものだから、つい僕も―――…。 先日、お前は漸く本気になれている僕の新しい恋を応援…ではないけれど、認めてくれたね。 それは安堵と共に、少しの寂しさ。 恋愛には多分、きっともうならないだろう。 誰よりも愛しているこの気持ちは家族愛。大切で、愛おしくて、永続的な感情。人間として深い情を注いでいる。 傍に居ても言葉は交わさない。見守るだけ。その奇妙な距離感は、数年掛けて築き上げた僕達の新しい形。でもこれで良いんだ、これが良いんだ。ねえ、そうだろう? 少し前まではね、思い出の中のお前は哀しんでいた。 だけど今、笑っているんだ。 僕が好きだった、太陽の様な笑顔。 相変わらず人懐っこく僕を呼んでくれている。 お前は幸せになるべき人間。 だから、誰よりもこの1年間笑うんだよ。 また新しいお前の始まり。 特別な日が終わる1分前に魔法を掛けてあげる。 『誕生日おめでとう、涼太…!』 最大の理解者、大切な存在へ。 〆 - special - |