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327.宛先不明の手紙【〆】
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34 :―――
2013/04/22(月) 23:59

赤司征十郎、


初めから僕達は、御互いに依存した。

「赤司っち!赤司っちー!」
煩く喚くその姿はまるで犬の様。適当にあしらってもめげずに追い掛けて来て、少し優しくすると全力で喜んで。主将として周りの部員に声を掛けると、何時も嫉妬に狂っていたね。お前、僕の友人達にも妬いて、喧嘩をして、覚えてる?でもそんなお前の想いが周りに買われていたりして、同じ学校の知らない生徒達から「二人の事応援してます」なんてファンレターを貰った時は、本当に驚いた。

お前は何時も真っ直ぐで、直球で。
頭で考えがちな僕とは正反対。理解出来なかった。だけど、心地好かった。お前は僕の全てを認めてくれて、僕の全てを愛してくれた。
上から目線で我が儘ばかりな僕の相手を、飽きもせず嫌がりもせず。喧嘩では怒ると言葉を失す僕を、「言わないと何も解ンないっスよ!」と怒鳴った事も有った。普段ヘラヘラ笑うお前の真剣な姿が、新鮮で、嬉しかった。


2年間、毎日一緒にバスケをした。
何気無い事を何でも報告し合って、試合の日には応援して。

数え切れない程言葉を交わした。
数え切れない程愛を囁き合った。
数え切れない程、キスもしたね。

思えば身体の付き合いはそんなに無い。大切にしたいから、と言ったお前の言葉。それだけでもう、抱かれている様な幸せな想いに溢れた。


僕達は近過ぎた。知り過ぎた。
だから、離れた。
高校を変えてからも、忘れる事は出来なかった。雑誌でお前が“昔の恋人が今でも好き”と言っているのを見た時は、震えたよ。何年も、何年も。僕達は新しい恋人が出来ても昔を乗り越える事は出来なくて、全てが“代わり”だった。

昨年の冬、1度だけ約束をして逢った。
僕を見るなり強く抱き締めるお前は、少し大人びてまた格好良くなっていた。馬鹿、少し、緊張をした。
でも「好き!」なんてお前が何の躊躇いも無く言うものだから、つい僕も―――…。


先日、お前は漸く本気になれている僕の新しい恋を応援…ではないけれど、認めてくれたね。
それは安堵と共に、少しの寂しさ。


恋愛には多分、きっともうならないだろう。
誰よりも愛しているこの気持ちは家族愛。大切で、愛おしくて、永続的な感情。人間として深い情を注いでいる。

傍に居ても言葉は交わさない。見守るだけ。その奇妙な距離感は、数年掛けて築き上げた僕達の新しい形。でもこれで良いんだ、これが良いんだ。ねえ、そうだろう?


少し前まではね、思い出の中のお前は哀しんでいた。
だけど今、笑っているんだ。

僕が好きだった、太陽の様な笑顔。
相変わらず人懐っこく僕を呼んでくれている。


お前は幸せになるべき人間。
だから、誰よりもこの1年間笑うんだよ。

また新しいお前の始まり。
特別な日が終わる1分前に魔法を掛けてあげる。


『誕生日おめでとう、涼太…!』


最大の理解者、大切な存在へ。

〆 

- special -


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