赤司征十郎、 試合中、私情を挟みそうになった。 チームの、自分の勝利以上にお前へ勝利を捧げたいと思ってしまった。お前の笑顔が見られたら、お前が楽しくバスケをする事が出来たら、それが何よりなのかも知れない、…――と。 馬鹿らしい。 自分でも考えられない、何かに取り憑かれていたか。恋情にかまけている場合じゃない。価値有る物は只一つ、勝利のみ。全ての勝負に勝つ事こそ正義。それ以外に意味等無い、下らない! 気の迷い、春の夢。 芽生えかけていた何かも、雨と一緒に全て流されていく。 何かを手に入れるには、 何かを捨てる覚悟が必要らしい。 矢張り僕には独りがお似合いだな。 〆 - 5 - |