桃井さつき、 とーっても眠いの。此処暫くは俄然やる気になっちゃった大ちゃんに合わせて部活も連日ハードだったんだけど、ぽっかり穴が空いたオフはひたすら眠くて。 データ整理だとか書類提出だとか、やらなきゃいけない事は有るのに。今夜はテツヤ…げふん、徹夜でもしなきゃきっとダメだろうなァ。あーん動け、私!未だベッドから出られないという! ピンクの布団、ピンクの枕。 カーテンから溢れる淡い日光――は雨の所為で無いけど。静かで暖かい空間が余計に眠気を誘うの。 そうだ、この前メンズの雑誌を買ったんだよ。きーちゃんが表紙のやつ。モデル“黄瀬涼太”のファンの子はあの華やかな外見が好きなんだろうなあ。学校に居る女の子達は彼の明るい性格も含めて好きになる。 でもねー、きーちゃんはそんな薄っぺらい人間じゃないんだよ。 自分の存在意義について考えてみたり、地上で溺れそうになったり、繊細なヒト。でも、強いヒト。ねえ、知らないでしょ?だァって、これは私と5人だけが知ってる顔だもん。わんわんしてるだけじゃないんだよ、あの太陽みたいな明るい笑顔の下にちゃんとした根っこをはってる。 それで、ね。こんな私の手紙も読んでくれてるんだ。…ふふ、そう、君だよ。名前付けてハッキリきーちゃんに御礼言うのもアリかなって思ったけど、女の子達のファンレターに間違われちゃったら大変!わ、私にはテツ君が…! だからこうして、宛先不明の手紙の中にこっそり君への手紙も忍び込ませてみました。 ありがとう、きーちゃん。 〆 - 7 - |