赤司征十郎、 例えば、「ずっと傍に居る」だなんて不確かな未来。 例えば、「お前だけを見てる」だなんて不鮮明な宣言。 どんなに甘く、どんなに熱っぽく囁かれた所で僕は何とも思わない。そうか、有り難う。勝手にしろ。 恋愛ごっこは飽々だ。 何処までも優しくて溺れてしまう様な情欲よりも、 何時途切れるか分からない緊張感の有る駆け引きの方が、ずっと魅力的に感じる。 だけど残念、駆け引きに100%翻弄される程愚かでもない。勝利を導き出し、計算した上での言葉遊びなんだよ。僕が負ける事なんて有り得ない、そうだろう?僕にどんな像を見ているか知らないが、主将が敗北を喫すだなんて部員に示しがつかないじゃないか。 「お前には勝てない」、そう言われた時の快感と言ったら…!思わず微笑ってしまいそうになるのを堪えるのも一苦労だよ。 性格が悪い? 別に聖人を目指している訳ではないのでね。ある程度達観でもしていないと、あの癖の有る連中を率いてはいられないという事さ。 ああ、でも。相手は選んで楽しんでいるつもり。 ねえ、其処の誰かさん。 お前だよ、お前。 〆 - 8 - |