オレは誰の代わりにも成れないんだ。誰にも成れない、オレはオレでしか無い。こんなオレがあんな風に成れるとでも?――まさか。憧れるには嫌いなものが増え過ぎた。色んなものを嫌い過ぎたんだろう。だけど彼の花はきっと誰にも似て居た。××にも、オレにも、似て居た。誰にでも似て居たから、誰にでも成れた。其れは迚も、迚も哀しいことなのに。誰かと同じ様に、××を重ねて求めたオレは狡いね。
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アツシ。お前の言葉を否定したりはしないよ。――欲しかったんだ、手に入らなかったから。彼の子を受け入れることが、××に対する贖罪に成ると信じて止まなかった。其れだけの、酷い話。そんなものを恋と信じて居たんだ、オレは。…此れは恋慕じゃ無いと、否定した彼の子が一番正しかった。
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だけど。だけど確かに、恋だった。嘘じゃ無い。誰に信じて貰えなくても、何度否定されたとしても。――オレはね。彼の花が好きだったんだ。本当に、本当に、…好きだったんだよ。