どれだけ恋人に心酔しているつもりでも、過去を消すこともできなければ、そのつもりもない以上、ゆるりと思い出す未練に悩むことがある。
追い縋ることが許されるなら、今にもヤツの身体を抱き締めて、二番目でも良いと言ったかもしれない。一番にしてくれなんて言わないから、オレのことも見てくれと、傍に居てくれと。……縋って、無様な姿を見せてヤツに幻滅されたくないと逃げたのは、オレなのだから致し方ないとわかっている。
だから、けじめをつけたつもりでも、時々こうして未練が顔を覗かせる。否、以前よりはそれも、大分マシになったと言える。恋人の存在も、オレの未練を和らげてくれている。
それでも時折、無性に会いたくなる。…会いたい。
会いたいのだよ、__。
>>>
恋人は勿論大事だが、それとこれとは別なのだよ。
ヤツがもう一度オレの前に顔を出したら、恋人が居ようが居まいが今度は離す気はない。
そのための布石はもう打たれている。人事は尽くした。あとは天命を待つのみ、だ。
…………もし次が無いのなら、それがオレとヤツの天命だったということなのだよ。