¶:見えない果て、羨望の裏側。 関係は良好に、親睦を深めている。特に他校の先輩方が優しく、マイペースなオレを気に掛けてくれるので随分過ごし易い――が、妙なタイミングで返事を留めてしまったので、どのタイミングで返すべきか悩んでいる。特別な意味なんてないのだろうしサラッと流せば良かったのに、逆に気を遣わせてしまっているのだろうと思うと返事に困る。週末はゆっくり返事が出来るから何とかして、気分転換に何処かへ出掛けたいものだ。付き合って下さい。 あの人がいつもオレに優しいのは、オレの容姿を好んでいるからなのも知っている。そうでなければこんなに良くして貰える筈も無いと理解もしている。勿論今はオレという中身についても許容されているのも理解した上で、図々しくも飴を頂戴する。ハロウィンも終わったのに、いつでも差し出されている飴を頬張るばかりで。そんな自分に嫌気が差す事もあるにはあったが、今はそこまで気にしていない。過度な遠慮も可愛気が無いというのも解っているので、優しくされる事にも慣れていこうと思っているのだよ。もう随分一緒に居るつもりになっては居たが、まだたった2ヶ月程度で驚いているけれども、兄のように内心では慕っている。 これからも親しく出来たら嬉しい。黒子とのメールが事故っているくさいので、そろそろ様子を窺うべきな気がする。あんなマンモスメール、事故らない筈が無いのだよ……それでも話し足りないのだから、本の話はとても有意義だ。オレの好きなクラシックの話も聞いてくれたが、あれからどうしているのだろう。CDや小説は貸すと言ったのに律儀に書店に趣いている様子もなかなか悪くは無かったが、やはりオレが貸した方が早いのでは。出版社違いで何冊も同じ本は持っているし、返すのだっていつでも良い。同じようにクラシックも種類があるだろう?好きな演奏家や好きな指揮者のモノが良いだとか、色々。そういう好みの話も、そのうち出来たらと思っている。その全てを共有しなくて良い、ただそれをオレが好むのだと認識しておいて貰えたら幾分付き合い易いというもの。最近また新しく纏めて本を買ったので、その話をしておけば「今は読書期間なんですね」と納得して貰えるのでは?と、そういう思惑である。 他だと、うちの親友殿がまるで帰ってこないのだが……これがあれか、いつもの疎遠のタイミングか。グループ交流も、意識の違いで上手くいくパターンと上手くいかないパターンがある。連絡が無くてもオレは変わらないし、いつか戻ってきたとしても変わらず接していける。執着も無いから失う事にも実感は無い。当たり前のモノなんて存在しないし、オレのモノも存在しない。甘い言葉とやらも正直胡散臭いし、何も感じないが、態度で示せば良いと思っている。お互い様だろうし、オレも話したい時は赴くだろうし……そうやってオレが存在する事で寂しい思いをさせたり、虚しくさせるのも理解はしているが、オレだけの所為ではないだろう。難しいものだ、他人の機微になど――このオレが気付ける筈も無いのにな。 板挟みにも慣れたものだ。嗚呼、不自由で適わん。 |