やっと形になった。 最初の一ページ目って緊張しないか、笠松? あ、そんなことない?オレだけ? そうか、笠松は前に出るのに慣れてるしな。 今日は何を考えよう。 ――そうだな、優しさについてでも考えてみることにしよう。 優しさってどういうのが“優しさ”なんだろう。 相手に気持ちがいい言葉を言うのが優しさ? だがそれは、相手が気持ちがいい言葉っていうのはあっちが望んでることをそのまま言ってあげてるだけに過ぎないだろ? それはそれで優しさなのかもしれない。 ぬるま湯の中に浸るみたいに、なんて言うんだ。 そう、共感脳っていうのか。 相手がオレのことをわかってくれる、だから優しい。 そう思っているように思える。 少し都合がいいんじゃないだろうか。 みんな違った考えを持ってる可能性はあって、その時にたまたま共感しただけで次は違うかもしれない。 もしそうだったときに、その人は優しい存在じゃなくなるのか? なら、本当の優しさってなんだ? 相手のために厳しくするのも優しさなのかもしれない。 だが、それは伝わらなければ傷つける要素にも成り得るだろう? オレにはオレの。 相手には相手のテンポっていうものがある。 そこを乱すのは相手のペースを狂わせてるのと同じ、そうじゃないか? タイミングってことなのかもしれないが、結構難しいことだ。 オレ達は相手の言葉を、雰囲気を見てどんな気持ちなのかを感じ取らなければタイミングなんて掴めない。 要はその人をどれだけ見ているかってことだ。 大事な人でもタイミングを誤ることはたくさんある。 誰もが器用に出来ることじゃない。 凄く難しいことだ。 上っ面だけでならどうとでも言えるのが現実でもある。 オレにもそれは容易いことだ。 でも、そうなりたくないって思わないか! 誰からも優しいって言われる人より、オレがキッチリ見て、話をして、向き合ってる人にオレは優しい人だって言われたい。 オレもその人をちゃんと見て、優しい人だ。素敵な人だって思いたい。 なんて、欲張りか?なあ、笠松。お前はどうおも…いたッ!? なんで蹴るんだ!! 長い?初なのに長いから!? 理不尽だ!理不尽すぎる!! 小堀ぃいいいいぃぃいぃ!!!! ――優しさって、なんだろう。 |