忘れるってこと。 私ね、忘れられない人がいるってことは罪じゃないって思ってるのよ。 じゃあ、何故忘れるってことは罪だと思ってないのか。 忘れるってどういうことなのかしら? それについて考えてみたの。 忘れることが出来ないのは相手が自分にとっていい意味でも悪い意味でも思い出深い、つまり、色んなことがあったからだと思うわ。 好きって感情は強烈な感情で、誰に対してでも持てるものじゃないわよね。 寧ろその存在を簡単に忘れることが出来るなら、あなたにとってその人はその程度の人だったってことになるわ。 人間は一人しかいないの。 どんなに姿形が同じだってねえ、一人だけしかいないのよ。 アンタはどうしてその人のことを好きになったの?そんなに簡単に忘れることが出来るのに? 私はそう考えちゃうのよねえ、上書きって絶対に出来るものじゃないの。 思い出は薄れるものであって、なくなったりはしないでしょ? 写真と同じよ。 新しいものが鮮明に見えるだけ、それだけだわ。 忘れるってどういうことを言うのかしら。 この前人と会ってこのことについて話をしたけれど、忘れるってことは関心がなくなる、興味がなくなっていくこと。 私はそう思ったのだけれど、本当に忘れるってことは記憶にも残らないことだって言われて、笑っちゃったわ。 アラ、確かにそうね。って。 だってそうでしょう? 忘れてるってことは思い出さないことだもの。 忘却していくってことだわ。 そんなこと、できるかしら? いえ、ごめんなさいね。私には出来ないわ。 みんな覚えてるんだもの。 覚えていたいんじゃなくて、今の私がいるのはいい意味でも悪い意味でも、その子達がいたからだから。 今の私はその子達一人が欠けても出来てなかったかもしれない、いなかったかもしれない。 たらればの話になるのかもしれないけれど、私はそう思うのよ。 だから、私は誰一人として忘れることは出来ないわ。 絶対に消えないもの、ふとした瞬間でも思い出すの。 今、何をしてるのかしら? またバカなことやってるんじゃないでしょうねって。 それが女々しい行為だとは私は思わないわ。 思うなら勝手に思わせておきなさいな。 本当にウジウジしててダメなのは、それを認めることが出来なくて誰かに他力本願することよ。 忘れたい、傍にいて欲しい、寂しい。 自分の欲求のまま、そんなことをすれば先が見えてるじゃないの。 私は御免だわ、同じことを繰り返すのも、考えないで次に進もうとするのも。 無理矢理に進もうとは、私もしたことがあるわ。 でも、何も生まなかった。 当然ね、笑っちゃうわ。 だから、自分のペースで歩いて行くのよ。 立ち止まってもいい、休んでもいいの。 いけないのはやめること、諦めることだわ。 思考もせず、ただ身を日々に任せていくこと。 人によるから、それが必ずしもダメだとは言わないわ。 でも、私そういうお人形さんには興味ないのよねえ。 私の周りにはそんな子一人だっていないけれど。 …ちょっと、小太郎!! アンタそれ、私の本じゃないのよ!! どうしてこんなに汚れて……。 …アラ、そう。 いらっしゃい、小太郎。 ブッつぶしてアゲル♡ ――過去も今も関係ない。傍にいる存在は私の全てよ。 |