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976.ラストバレル
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13 :
黛千尋
2015/11/03(火) 02:28
雪/49
例えばの話。
まあ例えば、人生っていうのは選択肢の連続と言えるものであって、自分が今この時に何をするか、何を言うかなんてことをコンマ一秒単位で選択し続けている。もちろんノベルゲーのようにたっぷりとした時間も与えらないし、殆どノータイムでコマンドを押し続けなきゃならないようなもんだ。もしかすると、オート機能がついているのかもしれないな。
例えば、まあ例えばさ。
そんな単純かつ機械的な選択をし続けている人生において、それでもいくつかは最重要と呼ぶべき選択肢も存在するんだとしよう。結婚すべきか否か?転職すべきか否か?はたまた、この道を右に行けば大金を拾うが、左に行けば不運にも事故に遭い命を落としてしまうとかな。
そう、人生の岐路がどこにあるかなんてことは後になってからわかることで、現実にその場にいる当人にとって「これが人生の岐路だぞ」なんて具体的に実感できる機会はそうそうありはしないのさ。
この例え話のミソはここからだ。
仮に、そう、仮の話だから突拍子もなくて当然だ。仮にその人生の岐路が自覚できたとして。そして自分が何を選ぶべきなのかはっきりとした選択肢が頭上に現れ、時間が止まり、「どちらかを選択してください」なんてテロップが右から左に流れるなんてことがあったとしたらだ。
オレは果たしてどっちを選ぶんだろうかな。
オレが生きるか死ぬか!
なんて問われたら戸惑わずに生を選ぶさ。もしもその生のために、他の誰かが犠牲になる結末を迎えたとしてもな。生きるということはそういうリスクを背負って然るべきだし、生きるとなればある程度の責任は仕方ないさ。受け入れよう。感受性は人一倍鈍いほうで助かるってもんだ。いやそんなことはどうでもいいな。話を戻すとしよう。
場所はバスケットコートのベンチ。最終クォーター。劣勢。観客の声は遠い。オレはベンチから立ち上がる。どうしても言ってやりたいことがあったのさ。男の子だからな。
そこで選択肢が出てくる。問い掛けはこうだ。
Dead or Alive?
頭上でカーソルが明滅する。時間はたっぷりある。オレは考える。選択肢の意味をな。誰の生死だというんだ。なにが生死を分かつと言うんだ。何が。どうして。何故。
目の前には消沈した我らが主将だ。やれやれこんな男の生殺与奪の権利を与えられるなんて、とんだ貧乏くじだ。
オレはどちらを選ぶんだろうな。
もし、やり直せるのなら。
そもそもどちらを選んだのかすらわかってないというのに。
実渕のやつが、レギュラー陣と飯を食いに行くから、受験勉強の息抜きにオレもどうかと誘ってきた。征ちゃんも一緒よ、ときたもんだ。おいおい、一体いつからオレにとってアイツの出席の如何がハッピーオプションになったっていうんだ。覚えがねえよ。
どうしたかって?
ノータイムで「断る」をクリックしたさ。
だって雪が降ってて寒いからな。
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