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976.ラストバレル
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17 :黛千尋
2015/11/17(火) 15:09

曇り/45

たまたまコンビニではちあったクラスメイトの女子に、「そういえば黛くんて頭すごいよね、それ染めてるの?」と聞かれた。
染めてなきゃなんだってこんな真っ白になるっていうんだよ。染めてるに決まってるだろ。オレがロシア人のハーフにでも見えるのか。

そう答えたところ、謝られた。ロマンスは始まらない。

実際のところ一体オレが何回髪と眉毛をブリーチして現在の髪色を保っているのかなんていう話は心底どうでもよく、またこんな頭にしているにも関わらず影の薄さには全く影響しないというあたりどうかと思っているなんて所感もどうでもいい。要するにオレは歯に衣着せた物言いをするという能力が絶望的に欠如しており、さらに言えばそのマイナスをどうにか補うために頭の中でいろいろと考えはすれど口に出す言葉を極端に少なくとするという方法しか取れなかったのだ、というこれまだ至極どうでもいい話に帰結させたいところなんだが、そういえばそういうオレの物言いをまるでどこかのラノベの魔王よろしく「フハハ、面白い男だ」と言ったヤツもあいつだけだった。
オンリーワンというのはナンバーワンよりも時にやっかいだ。別にいいものだって意味なんかじゃない。そのままの意味だ。

なぜオレが髪色ごときを指摘されただけでああいう物言いをしたかと言えば、聞かれ飽きていたからだ。「変わった苗字だね」の次に「髪染めてるの?」というのはオレに向けられる話題の頻出度の上位に君臨する。その次が「背が高いね」だ。

そういえばそのどれもあいつには言われたことがない。

いい加減。
自分が重症なのには気づいているさ。なにせそのクラスメイトの女子は、審美眼に厳しいオレの目から見ても上の下に値するくらいの美貌は持ちあわせていたんだぜ。鈴を転がしたような愛らしい声がありがたくもこのオレの見た目に注目した旨を告げてくださったのだ。

だというのに。

まあ。もう少し、猶予をくれ。
なにもはじまっちゃいない。なにも終わりはしないさ。

なあ、いいだろ?

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