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976.ラストバレル
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37 :
黛千尋
2016/02/02(火) 10:21
晴れ/25
いつだったか、葉山だったか根武谷あたりが、自分は夢を全く見ないし覚えてもいない、と言っていた。オレは夢はよく見る方だ。中二病を発症していたオレは夢野きゅうなんとかのドグなんとかマグなんとかを読んでいたし、夢日記なるものもつけていた。明晰夢というやつを見ることに憧れていたのだ。自由自在に夢を操れて、夢の中で好き勝手できるというやつだ。
残念ながらオレは明晰夢は見た経験はない。せいぜいが、「ああ、これ夢だな」と意識の中で気づくくらいだ。前回もそうだったように、オレは麗しの妹・征子(仮名)を前にして、「ああ、これ夢だな」と思いながら突っ立っていた。
時にオレの性癖の話を少ししたいと思うが、オレは自分で言うのもなんだがほんの少し淡白なだけで、極々一般的な流れで性に触れ、その対象も個人的な好みの範疇として一般的なものからは外れないであろうことを自覚している。コンビニの成人向けコーナーはチラッと見てそっと目をそらす。
相変わらず征子はとんでもなく可愛いしオレ好みのドンピシャストライクを突き抜けて心臓を抉るような破壊力を持っていたが、恐らくそれはこのレベルの美少女を前にしたら誰しもがそうであろうと断言できるし、つまりオレには後輩(オス)を女性に見立てて萌えるような性癖は全く無いのだと言いたかった。
お前が出てくるのは、もしかしてあいつから連絡がくる知らせだったりするのか。オレは気づくとこう訪ねていた。
征子は触り心地のよさそうな赤毛のショートヘアにかかる前髪を軽く揺らしながら首を傾げ(とてもかわいかった)、生まれてくる時に目頭を切開したんじゃないかと思うほど大きな猫目を柔らかく細めた(艶めかしかった)。
「次の交差点を右に曲がったら大根畑で泳いでください」
征子の言葉にオレは頷いていた。
夢ってのは不思議だよな。どんなに整合性の無いことを言われても、脳内のシナプスがどこぞかと結合して、納得させるだけの説得力を持たせてしまう。人間の思考回路なんぞあやふやで適当なものだと実感するじゃねえか。
いや、納得できねえよ。
オレは起きた瞬間にこうつぶやいていた。
別に携帯に連絡も入っていなかった。
運命なんてものはそうそうありはしない。
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