スレ一覧
976.ラストバレル
 ┗4

4 :黛千尋
2015/10/11(日) 03:04

雨/58

始まらなきゃ終わらないなんてくだらない概念を最初に考えた奴は、相当にペシミストだったに違いない。
オレが果たして悲観主義者なのかどうかってのもどうでもいい話だし、大体において主義を掲げるやつはあまり信用しないことにしている。主義は主義でしかなく免罪符じゃないんだからな。
つまりオレのことはあまり信用しない方がいい、という話だ。これは統計だ。

というのも、取るに足らない話があってな。
今日は雨降りだったし例によって一日中机とべったりひっついて、時間を惜しむように愛し合う予定だったんだが(話題は主に電荷と電界についてだ)、なんと楽しみにしていたラノベの新刊の発売日だったことに気づいてしまったんだ。
オレは禁欲的でもなんでもない。読みたいものはすぐに読むし、知りたいことはすぐに調べる。それにその新刊は限定特典付きだった。たかだか一時間やそこら本屋にかまけたところで受験に落ちるわけじゃないさ。幸いにも頭の出来はそれなりに良く産んでもらったからな。
ここまでがオレの脳内で繰り広げられた言い訳だったわけだが、人間ウソをつくときやいけないとわかっていることをする時は饒舌になるもんなんだ。人間観察をしていた頃も実感していた。ウソをつく人間は聞いてもいないのに余計なことを言い過ぎる。ウソを言葉で塗り固めないと安心できないんだ。それでいて言葉には具体性が欠ける。ウソをつく人間の言うことは、かなりの割合で見抜けると思う。まあオレのごくごく普通の日常生活においてそんな技術が発揮される機会はただの一度もないわけなんだが。オレがコミュ障を患っているせいもある。
そんなことを考えながら向かった先の本屋で、まさか死ぬほど目立つ赤髪を見つけることになるのは悲劇でしかなかった。
すぐにオレに気づいた奴は(なぜ気づくんだ)、後輩らしい微笑みを携えて会釈をしてきた。それ以上は踏み入らないって、約束を律儀に守っているふうだ。関心なことだ。その手にはオレにはよくわからない種類の本がある。多分流行りの経済理論か何かに見えた。ピケティだっけ。
オレは目当ての本を探し当て、無事特典も手に入れて帰路についた。
話っていうのはただそれだけだ。

つまり何が冒頭の話に繋がるかというと、オレは早々に放っておけと言ったことを後悔しているっていう、それだけのことなんだけどな。

勘弁してほしいぜ。

[削除][編集]



[戻る][設定][Admin]
WHOCARES.JP