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短編小説コンテスト!
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2 :匿名
05/30(土) 00:39

「フライパンの戦い〜選択の時〜」 

 両軍の戦いの火蓋は切られた。先に悲鳴を上げた方が負けの仁義なき戦いだ。フィールド内ではすでに各所から煙が上がっている。厚着な歩兵が多いベーコン軍は、「焦げずにカリカリ」のスローガンのもと、巨体を揺らして走っている。一方のソーセージ軍は随分と薄着である。シコシコしてくれとでも言いたげな薄い皮のみを残した姿でくるくる走り回り皮を弾けさせないよう戦っている。司令台の私は我が軍の勇姿を見守る。その巨体から発せられる歓声、ああ、いい音だ。これは勝てるかもしれない。そう、向こうのくるくるとした動きさえ止めて仕舞えば、こちらの勝ちなのだ。かなり有利である。向こう岸からは、今にも怪我をして崩れそうな兵が雪崩れ込んできている。くるくるも多勢になるとずいぶん威力があるのかもしれない。
 …想定外のことが起こった。なんだと、増援にボイル兵が来るとは聞いていない…。炒め用歩兵だけではなかったのか!奴らは、ボイルで鍛えられた兵は皮がやや強い。限界まで膨らんだその体でこちらを押さえつけ、その水分で兵たちのカリカリの鎧を無力化するだろう。先手を打たねば。私は思わず声を上げた。
「火力を上げろ!」
 その声に応じて強まった火中で、こちらの兵はカリカリを強め、ソーセージ軍を押さえに入った。ボイル兵は水分が減り、次々に弾けていく。ドロップアウトしていくソーセージ軍を勝利の雄叫びをあげながら見ているベーコン軍は、どんどんカリカリが増えて完全体へと変貌を遂げた。勝ちだ。ベーコン軍は勝利した!!

 勝負は決した。来るべき再戦の、いや、再選の日には、この手記を読み返してほしい。その時はどちらの軍が勝つだろうか。
 さあ、ベーコンがカリカリに焼き上がった。食事にするとしよう。

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