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517.【広壮なる】二つ名キャラで小説を書こうぜ 第二章【妄想】
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◆j4qknp56G2
投稿日:11/08/10 23:03:42 ???
「、っ」
突き立てた、ように思えたそれは、首筋に喰らいつく前に、ごり、と重い音を立てて止まった。スーツの男と刃の間を、薄い薄い黒い壁が隔てていた。そしてそれは、電灯を背にした男の背中、その肩口の影からまさしく生えていた。
にやりと、空気が笑みの形に変わる。戸惑わずニット帽の男は一歩後ろへ飛び退る。一瞬の間をおいて、スーツの男の背中に、円錐状の針が突き出していた。丁度、ニット帽の男が立っていた場所だ。ただじっと真正面を睨むニット帽の男の頬を、汗が伝う。
かつ、かつ。わざとらしく踵を鳴らしながら、満面の笑みでスーツの男は振り返る。
「はい、残念でした。今日も俺の勝ちー」
おどけるように両手を広げ、軽く小首を傾げて見せる。瞬間、緊張の糸が切れたのか、疲弊した面持ちのニット帽の男がその場にへたり込んだ。
「ずるい、マジずるい、超ずるい。俺自体に戦闘能力ほぼないんだからさー、もっと加減してよぉ」
「お前は殺気の隠し方が下手なの。こっちはちょー加減してやってるっつうの。でなきゃ今頃、コート中針の山だよ」
でも、だって、と頬を膨らませ抗議を続けるニット帽の男へ笑いかけながら、スーツの男は、隣のコートへと視線をやった。
「さて、あっちはどんな具合かね。体力余りまくりだし、加勢しに行きますか」
影を器用に操り帽子を拾い上げかぶり直すと、キーの高い足音を立てて歩いていく。
(111.86.141.81)
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