スレ一覧
┗
530.携帯のメモに貼ってある物を晒すスレ
┗7
7 :SERNの名無しさん
投稿日:11/05/04 11:04:23 TzK41X4IO
①「彼が、おかしいんです」
私は、はじめにそういった。
ここは事務所の一室。私は“依頼人”という立場で、今ここにいる。
しかし、ここがなんの事務所なのか、じつは私にもわからない。
「悩みがあるなら、行ってみたらいいよ」
友人にそう言われたので、とくに何の考えもなく、とりあえず来てみたのだ。おもての看板には「しかけ屋」と書いてあったが、なんのことなのかわからない。
「なるほど、彼の様子がおかしいのですね」
デスクの向かいで、黒い服の青年が頭を上下に揺らして、深くうなづいている。若いが、ここの所長らしい。
所長は言葉をつづける。
「で、どのようにおかしいんです?」
そう。それなのだ。私には、付き合ってひと月になる彼がいる。その彼が……おかしくなってしまった。
「どう、おかしいかっていうと……」
まず、いきなり仕事をやめた。いや、それだけなら別におかしくはないだろう。問題は、次にはじめた仕事である。
「ふんふん、どんな仕事を始めたんです?」
所長はうなづきながら、身を乗りだした。聴き上手な男だ。
私は乗せられたように続きを話した。
(59.135.38.162)
[
削除][
編集][
コピー]
[
設定]
TOTAL:2385562 TODAY:133 YESTE:948 ROM:1