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702.【久しぶりに】にぅ版百物語【やらないか?】
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16 :nipper774さん
投稿日:13/09/10 09:25:47 vGsdhTzmO
大正時代の初め頃、東京の京橋に『画博堂』という書画屋があって、そこの3階には同好の志が集まって持ち寄った怪談話を代わる代わる話し合うということがよく行われていた。ある日、その画博堂に見慣れない男がやってきて、自分にも話をさせてくれと言う。どんな話かと聞くと、田中河内介の話だと言う。田中河内介は明治維新時の知られざる尊皇志士の1人である。その男は「田中河内介が寺田屋事件の後どうなってしまったかということは話せばよくないことがその身にふりかかって来ると言われていて、誰もその話をしない。知っている人はその名前さえ口外しない程だ。そんなわけで、本当のことを知っている人が、だんだん少なくなってしまって、自分がとうとうそれを知っている最後の人になってしまったから話しておきたいのだ」と言う。初めは、よした方がいいなどと、懸念してとめる者もいたが、大半の人々が面白がって促すので、その男が話を始めた。前置きを言って、いよいよ本題に入るかと思うと、話はいつの間にかまた元へ戻ってしまった。「河内介の末路を知っている者は、自分1人になってしまったし、それにこの文明開化の世の中に、話せば悪いことがあるなどということがあるはずもない。だから今日は思い切って話すから、是非聞いてもらいたい」というところまで来ると、またいつのまにか始めに返ってしまって「田中河内介の末路を知っている者は」と話し出す。その間に、一座の人が1人立ち、2人立ちし始めた。別に飽きたから抜けていくというわけではなくて、用で立ったり、呼ばれたりして立ったのだそうだが、私の父も自宅から電話がかかってきて下に呼ばれた。下に下りたついでに帳場で煙草をつけていると、又あとから1人おりて来て「まだ文明開花をやってますぜ。どうかしてるんじゃないか」と笑っていると、慌ただしく人が下りてきた。偶然誰も周りにいなくなったその部屋で、前の小机にうつ伏せになったまま、彼が死んでしまったというのだ。とうとう、河内介の最期はその人は話さずじまいであった、というのである。
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