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1622.玉散る刃の巡恋歌
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161 :藍染惣右介
2012/03/15(木)23:27:22

孤独感とは何時何処で感じるのだろう。



生まれた時から孤独しか知らぬ人間は、喪失感さえも失っている。
失う物が無ければ、其れに伴う哀しみや憂いといった感情も知らずに育つ。
知る機会にすら恵まれず、喜怒哀楽の代償として得る罪の意識にも苛まれず老いて逝くだけだ。
以前の私は、其のような生き方は詰まらないと考えていた。
組み敷く者が居れば、組み敷かれる者が居る。
世は、常に強者と弱者に分かたれており、己は必ずや強者の側に属していると自覚していた。
然し、永久の監獄から見える真の闇を前にして、今更ながら自責の念を感じるのだ。
闇の闇に呑まれつつ、初めて私は後悔という気持ちを識った。
起伏無き生命など無意味だと感じていた日々が、どれ程に愚かで如何ほどに恵まれていたのか。
私が得ようとした力など、何ら意味の持たぬ物だったのだと知って仕舞った。



人は忘れなければ生きて往けず、人は忘れる事で生き続ける。
其の存在を忘れられるのを最も恐れる癖に、忘れる事でしか其れを証明出来ない。



愚かで哀しい生き物相手に、
此の私が本気になるべきでは無かった。



そう、思わないかい?








── 無明 ──

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