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1906.揚雲雀
 ┗143

143 :朽木白哉
2011/11/24(木)16:01:49



昼過ぎ起床。否、フウリとサクに起こされて。如何やら燕は執務の様。残る香りに寂寞襲う。
手や顔を舐め来る二人を一撫でしてはサクを腕に収める。窺う様に見上げる視線に思わず柔和に変わる貌。刹那身体寄せるフウリに代わりとばかりに幾度も身体撫でて愛しむ。…嗚呼…此の子達も不安に為せて仕舞ったのだと自責の念が打ち寄せる。寝台に横たわる侭、二人と戯れ足らぬ温もりに目蓋を閉じる。何故、怖いのだろう。彼の手は私を傷付ける事は無いのに。…いっそ、傷付けて呉れたら、…何て燕を困らせる愚行に溺れ。被虐的思考は無い筈なのに、と戒める。
止まった侭の懐中時計。早く時計屋に出さねばと思いながら行けず仕舞い。近頃明瞭と痛み始めた腕により憂鬱に為る。…何故、私は憂うのだろう。自問自答にも為らぬ此の疑問は解消為れぬ侭幾年月が過ぎた。澱んだのか。其れさえ認識出来ぬ。愚か也。歪んだ狭隘心を持て余し燕を傷付けて尚、私は其の手を離して遣れぬ。別離を口に出来ぬが其の証。

>恋し恋しと啼きながら、翔ぶ翼無き我が身を厭い
>愛し愛しと啼きながら、短き肱を燕に伸ばす

腕の中で微睡むサクに接吻一つ。羨まし気に覗くフウリにも施し惰眠を貪る。標準に比べ大きい筈の寝台が酷く狭く感じられる。此れでは燕は入れぬなと思いつつ…今は子供達と戯れる。疼く左手薬指に口唇押し当て吐息を一つ。

>募るは燕に恋す確かな想い
>疼くは燕を欲す賤しき躯

濡れて濡れて濡れて、溺れる欲に浸る余韻は遙か遠く。手繰り寄せるに足らぬは燕と識りながら、拒む躯は心と裏腹。寂寞喰らって残るは骸。確かに感じる子供達の温もりに、答は既出と想いを辿る。

…燕に蝶を飛ばそうか。身請け為れたと謳った夜を思い出し、夜に濡れる算段一つ。今は未だ子供達との戯れの中、…溺れる己を確かに感じた。



>  ヒラヒラと、衣纏いて紅を差し
>  ユラユラと、煙管咥えて夜を待つ

幾久しく、燕を想う。

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