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2492.ドFの花道
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167 :
檜佐木修兵
2012/02/06(月)00:35:57
誘ってみようか。惑わせてみようか。
目で。
耳で。
鼻で。
口で。
惑わせてみようか。誘ってみようか。
視覚で。
聴覚で。
嗅覚で。
触感で。
邪まな目的を以って好いた相手を誘惑するあの感覚が何かに似てるとずっと考えていた…。
が、最近ふと答えに辿り着いた気がする。
嗚呼そうか。
戦う時と同じ、だ。
満たされぬ欲に駆り立てられて知性も理性も、欠片も無い虚と相対した時。
>穏やかな時間を共に過ごす最中にも垣間見える情欲の高を外そうと相手と向き合う時。
袴の腰帯に然りと括ってある下緒の結び目をそっと撫でてから柄頭に指先を添え、黒色常組糸諸撮巻の
上下交差する糸の締り具合を確かめながら柔らかく鍔と鞘の境目に在る縁へと掌を定め。
>胡坐掻く相手の堅く結ばれた腰帯の結び目をそっと撫でてから膝頭に指先を添え、黒色一辺倒の黒衣の
>上質な生糸の手触りのような布地の触り心地を確かめながら太腿を撫でて再び腰帯の結び目へと掌を定め。
敵に悟られぬよう大仰な声は荒げず気配殺し、縁に添える左手の親指を鍔の内に宛がわせては内切の所作にて“はばき”を外して鯉口を切る。
>相手に次第に早まる鼓動が聞こえぬようにと願い息を殺し、帯の隙間に指を差し込んでは布擦れる音を鳴らしながら結び目をゆっくりと外させる。
淡く光る刀身の切っ先、其れを敵の喉下三寸。寸分の狂いもなく確りと構え定めて相対し。
>僅かに震える腕と指先、其れを相手の喉仏より少し下。此処だけ触るのが勿体無いと確りと場所は定めず触れながら向き合って。
足音立てぬ様、距離を詰めてる事を悟られぬ様ににじり足でじりじりと敵との間合いを次第に狭め。
>もたつく動きで態と足音を立て、距離を詰めてるのを思いっきり判らせるように畳の上を摺って邪魔なのは互いに纏う衣の布切れ一枚だけと知らしめるよう相手に身を寄り添わせる。
そうすればほら。
誘われて
甲高い金属音のような耳障りな咆哮をあげて襲い掛かってくる虚。
惑わされて
>優しい色した双眸が獲物を仕留める肉食獣の如き血走った雄の眼差しに変貌を遂げるお前。
後の事をどう誘惑するかは如何様にも。
突然八相の構えから袈裟斬りで一刀するも良し。
>両肩を掴んで押し倒し相手に跨って嗤うてやろうか。
鍔競り合いからワザと力負けするふりして押し込ませて敵の優勢を演じてやってもいい。
>強気から一転押しの弱い部分をチラつかせて相手が強引に責めてこれるよう御膳立てするのも悪くない。
誘ってみようか。惑わせてみようか。
荒事も
惑わせてみようか。誘ってみようか。
色事も
誘い惑わす際の感覚は一緒。
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