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2511.蒼紫-aoshi-
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168 :
檜佐木修兵
2011/06/04(土)23:18:12
久々に一杯食わされた
お前の、それも珍しく話だと言うから出無精な俺も腰を上げたんだ。会った途端尋問みてぇに阿吽の流れが口を閉じさせてくれねぇ。
昔は少し可愛いげが在った、なんて口にすりゃそれはもう嬉しそうに憎たらしい程サラリと笑み浮かべてきやがる。
お前の目差す場所に相応しい是迄の歩みは真っ直ぐで、それを成し遂げた意志は増して貫かれてる。幾通りの中から一つと己に違わず進む少年と、ただただ無垢な姿だと肘を着いて見ていた俺。
情けねぇけど良く頑張ったな、なんて後から声をかけてやる事しかできねぇんだ。羨ましいと口にするのは一回、それ以上は全てに蓋をしてやる。俺がまた俺であった日に戻るのはそう近くはねぇだろうが焦りはもうねぇ、長く待った思考が自分にちゃんと唱えてるらしい。
こっちを振り返る時間なんざねぇはずだ、まだ不満な顔を見せる少年に叱責を飛ばす。…何様だよ俺は。ただ見上げる少年の一歩を、介入せずに見守る事が最善だと握り締めた掌を緩めながら思った。
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