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2668.Eine silberne Kette
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136 :
石田雨竜
2013/03/18(月)13:42:42
その日、を前に渡されたものの一つは、少々歪な形をしたトリュフだった。
確かにその前の月に偶々会った時に、何か差し入れを持って来いとせがまれて、世間のタイミングに合わせてチョコを持ち寄りはした。
だけどその一か月後、そんなものが目の前に出てくるとは、正直思いもしなかった。
きっと普段、そんなことはしたことがないだろう。
形の歪さから、悪戦苦闘したであろうことが容易に想像できる手作りのそれ───。
きっと家事をし慣れている分、作るなら僕の方が上手いだろう。
だけど、その一粒一粒に込められた思いはどんなパティシエの作ったものでも敵わない。
摘まんで口に運んだそれは、僕の中の色々なものを溶かすくらいに甘かった───
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