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┗2807.匣・旅立ち(106-110/110)

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106 :テスラ・リンドクルツ
2012/08/10(金)07:44:39

泣きじゃくる声がずっと耳に残る。随分場所も放れたと言うのに、ジオは泣きながらも、後悔しながらも旅立つ僕を許してくれた。反逆者になったんだ、追っ手が来るなら見付かる前に目的地に辿り着かないと。

初めて月の下で君と出会い剣を交わし、交遊を持つ様になり部屋に招待した事、初めて口付けた天蓋の屋上、気持ちを確認しあったソファーの裏側、現世の四季に触れ、その度に君の瞳はより輝いて、虚圏に帰りたくないと、無理な事を口にした。
香る桜、空も地面も真っ赤な秋、霊力までも凍りそうだった湖畔、藤棚で蝸牛に脅えていた梅雨、一泊した温泉旅行、白い森の様に眩しかった二度目の花見、指輪を渡した夏祭り、その涙は夜空の花火より美しく、尊く、街にも出歩き、ジオを妬かせる事が何度かあった様だ。初めて貰った手作りのブラウニー、僕を甘いチョコレートだと例え貰ったチョコレートの欠片形のシルバープレート。眼帯と料理をする僕に選んでくれたカフェエプロン。喧嘩もしたしそれ以上に沢山笑った。思い出は日を追う事に増えて行きました。


君はまた何時かの再開を信じ見送ってくれた。
それに応える事は出来なかったが、「さよなら」じゃなく、「行ってらっしゃい」なんて、別れではなく見送りの言葉に安心した。


また何時か、出会えるならソウと共に。


有難うジオ。あの誓いは嘘じゃないよ。



行ってきます。

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107 :ジオ=ヴェガ
2012/09/19(水)18:05:35

あんたの居場所を記憶した俺をこの場に。



出てっても体の奥深くに残ったあんたの霊力は確実にあんたの居場所を教えてくれる。

呼ぶ声を覚えた鼓膜はあんたの声を捉える。




さよならで終わんない話の続きを夢に見る。

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108 :ジオ=ヴェガ
2012/11/15(木)20:56:11

あんたを連れて一度浮上。

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109 :テスラ・リンドクルツ
2013/12/07(土)10:11:45

夕日が綺麗だって事を教えてくれた人へ。

同じ空の下、直ぐに消える橋等無くても世界は繋がっているんだよ。
朝も昼も夜も、毎日が続く限り。



どうせならば一緒に浮上させなさい、なんて。

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110 :テスラ・リンドクルツ
2015/05/29(金)12:04:19

元恋人に今さら愛を囁くのはどうかと思う、自分から放しておいてその資格は無いだろう、だけど僕と彼とを繋いだこの綴りはやはり隣り合わせにしておきたかったので、並べて浮上。

これくらいは許してくれるだろう?だいたい綴りが並んでいるから何だと言うんだ、対して意味など無いんじゃないか?周囲への主張?僕等を知る人もきっと少ないだろう、ならさして意味がない。なら何故一緒に浮上させたか、取るに足らないシンプルな理由さ。
もう一度だけ、綴りを並べて前を懐かしみたかった。ただの自己満足だ。

そもそも嫌いになったから別れた訳じゃない、君の事は相変わらず大好きだ。でも僕から手放しておいて愛を語る資格は無いし、それはあまりにも未練がましい。此処に顔を出したのは久々だし、見つけた序でに自称虚圏一可愛いオンナノコのカーテンコールを冷やかしてやろうかと思ったけど、その気も失せた。
今更だが、君にしては「虚圏一」なんて今にしてみればのは控え目だったな、どうせなら「全世界一可愛いオンナノコ」くらいの気位の高さはあっていいと思うが。まぁいいか。


もしかしたらまた何でもない呟きをするかもしれない、その時はもう一緒には上げないよ。ただ、君が僕と同じ様に懐かしみたくなったなら一緒に浮上させればいい、君の特権だ。勿論君から離れても構わない。

僕は相変わらず毎日を生きるので一杯です。でも嫌味なほど涼しい顔で上手く乗りきってるよ。
現世に出るときは気を付けて、もう暑い頃合いだ。

それじゃ。

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