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2848.伽藍
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阿散井恋次
2011/01/15(土)09:33:25
蜜柑の皮を剥いて屑籠にポイと棄てる。勿論、実は食う。
冬の楽しみの一つ。
食おうと思えば春でも夏でも食えるが、やっぱり冬の蜜柑は特別。
甘い蜜柑も酸っぱい蜜柑も。みんな好き。
瑞々しい蜜柑を口に運びながら。恋人との出逢いとその後を思い返す。
割合最初の頃に、「未だに忘れられない相手がいるから、本気になるのが怖い。」そう正直に伝えた。
まだ未練がある、って意味じゃなくて。振られて置き去りされたままの「好き」って想いや共に過ごした時間、それから愛された記憶。そんなものが上手く消化出来ない…そういう事を伝えたら、自分もそうだと。俺の弱い部分や甘い部分、みんなひっくるめて俺が好きだと言ってくれた。
そんな風に…ありのままの俺を受け止めてくれたあんただから、素直に甘えられた。
ガタンゴトンと、ゆっくり進む現世の電車みたいに。時に一人で、時にあんたと二人で。空いた車内で、混んだ夜に。差し込む夕日を一緒に見たり、うたた寝するのに肩を貸したり。吹き付ける雪が窓硝子に結晶貼り付けるのを指差したり。
俺の見てるものを送ったら、喜んでくれるあんたが愛しい。
互いに同じものを見て一緒に過ごせる事が嬉しい。楽しい。
あんたは、俺とは逆にあまり執着せず軽い付き合いを繰り返してきたって言ってたな。自分は酷い奴だった、とも。
でも、俺にはそんな風に思えなくて…。
あの時も、今も。あんたは何時も優しくて、愛情深い。思いやりもあって愛嬌もある。ああ、でもちょっとだけ優柔不断かな。
何時も俺ばかり好き勝手して…あんたは俺に合わせて我慢してんじゃねぇかな…ってたまに心配になる。
聞いたら、そんな事無いって否定してくれるんだけどな。
たまには、俺が「ええええっ!?無理無理無理っ!」とぶんぶん首を振って嫌がるような事もしていいんだぜ?…たまになら、とこっそりとヘタレな呟きをしてみたり。
結局、蜜柑食ったら腹いっぱい。
また眠くなってきた…。
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