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186 :朽木ルキア
2011/08/29(月)08:28:13

愛しい御前。

徒、御前が私のものであることを誇りに思う。

>最初の恋文。

思えば御前と出会った当初は斯様な関係になる等と毛程も思うておらなんだ。
兄様から頂いた新しい玩具、新しい飼い犬と、其れだけのこと。
丈夫で壊れぬ御前が面白く散々手酷い扱いをした。
私は凌辱者であり、御前は牙を剥きながらも私の手で与えられる全てを享受するしか無い。
始まりはその様な関係であった筈だ。

私は飼い犬と恋人は分ける質で、それでも飼い主としての責務は果たすと御前に告げた。
その言葉通りに手を差し延べた弥生の月。
深い闇の底で御前の心に少しだけ触れた気がして、ふわりと私の心が擽られた。

それからも紆余曲折あって、恋人とも呼びながら私も御前に不義理を働いた事もあり、決して御前の気持ちはなだらかで無かったことと思う。
私が見つけた御前の過去を前に、真摯な告白を受けたのはほんの半月程前の事であろうか。
しかし、この半月は蜜月と呼ぶに相応しく、共に歩むという事を強く強く意識させられた月でもあった。

ひと時でも長く御前の傍に
恋人として、
主人として、
伴侶として、
共にあろうぞ、恋次。

しかし、任務中に大の男が泣くとは何事だ!このたわけ!
今回は特別に兄様には報告しないでおく。その代わり、御前は明日から涙を見せるのは私の前でだけにせよ。

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>恋次の誕生日。

恋次の家に招かれて想いを確かめ合っておった。
御前とする口付けのなんと甘美な事か。
抱き合うよりも官能的で幸せな口付けを、交わせる相手が御前で本当良かったと、そう思う。

御前に授けた守り刀。
あれは夫婦円満の御守りに嫁入り道具として用いられるもの。
花嫁を幾多の禍から守るようにという想いを篭めて、また純潔を汚される事あらば自害せよとの想いを篭めて授けられるもの。
…同時に私の誓いそのもの。
それを御前は受けたのだ、覚悟は良いな。

(…実はな、授けた指が震えておった)

もし私が御前を裏切る事があればどこぞの武将の娘御のように、授けた守り刀で私の首を掻き切ると良い。
それもまた、私の誓い。私の覚悟だ。

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>久しぶりに私とでーと。

翌朝、目を覚ますと兄様が枕元で正座をされて…その…非常に厳しい顔で私を見ておった。目が合った時は寿命が五十年程縮んだ。

とりあえず、とびきりの笑顔でごまか…けふん、朝の挨拶をしたら一先ず眉間の皺は消えたが、それでも霊圧が重い。何なのだ、この空気は。

虚に立ち向かう時の十倍程の勇気を出して理由を尋ねたら、深夜に隊舎を抜け出して他隊の副隊長(つまり恋次だ)と逢い引きをした上に、堂々とその腕に抱かれて屋敷に戻るとはどういう了見だと説教を。
二人して副隊長としての自覚が云々、む、確かにこれは反省をすべき点かもしれぬ。
養子とはいえ朽木家の者が流魂街出身の云々、あらぬ噂でもたったら云々、そもそも夜遊び云々……成程、つまり兄様は私が羨ましいのだな。恋次と歩いていれば似合いのかっぷるだと囃される私が。

流魂街出身とはいえ立派に出世して死神として地位を得ておる恋次の何処が朽木家に相応しくないと言うのか。流魂街出身の私にはお似合いではないか。
そもそもその恋次に守り刀を授けたのは誰だと言うのか。まったく兄様も素直で無いな。

要するに、私と恋次が仲良く逢い引きをして自分が蚊帳の外なのが気に入らんのだ、兄様は。恋次の事となると時々子供のようになるのが兄様の欠点であろうな。(私も似たようなものだが)

…あまり煩いと朽木家の屋敷を出て十三番隊借り上げの長屋に引っ越しますよ、兄様。

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なあ恋次、ご長寿かっぷるに挑戦してみるか? なぁ。

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十三番隊副隊長を拝命した夜。

これでまた一歩尊敬する兄様に近付く事が出来た。
私を拾い、育ててくれた朽木家に少し恩返しが出来た。
なにより…恋次、御前と肩を並べる事が出来た。

これからも兄様や御前が誇れる私で在るよう精進しよう。

…ふむ、先ずは卍解の習得からだな。

なに?日番谷隊長と技がかぶる?
余計なお世話だ!

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