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┗2903.二人の「F」(146-150/155)

|||1-||||リロ
146 :シエン・グランツ(小説版オリジナル)
2013/01/28(月)21:46:52


何故、お前は僕を拒絶する?


お前は、僕だろう?
何故僕を受け入れない?何故?何故だ?

>(聞こえない、そんな話は聞いていない)


お前は『お前』じゃないのか?そんな馬鹿な。僕の推測と計算が間違う筈がない。
ならお前が何かしたんだろう、!

>(云うな、云うな云うな)


云うな、それ以上云うな!喋るなっ!!




(───真実はある意味残酷だ。)
(僕は僕だが、お前は僕ではなかった。)
(いや、僕が 違った)
(なら、僕は一体何なのだ)


『ザエルアポロ・グランツではないと云うのなら、僕は一体【誰】なのだ』

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147 :シエン・グランツ(小説版オリジナル)
2013/02/05(火)20:30:10

『僕』は提案する。

僕は______・____だ。正確には違った。だが元はそうだ。
その証拠と、利点として、僕はあの頃の記憶を有している。
未だ不完全だが、______・____が不要だと捨てた情報をも握っているのだ。
僕は客観視をもって推察する。
彼は進化の方向性を選び間違えた。
当時の計算上は誤りではなかったのかもしれないが、今、冷静に分析してみればやはり愚かだったのだ。


だが無理はない。欲したものは、力ではなかったのだから。
だが僕は力を必要とする。
戻ろうじゃないか、______・____がわざわざ切り捨てた、かつての姿に。
そして、なればいいのだ、彼ではなく、『僕』自身に。
探せ探せ、意義を探せ、意味を、世界を、僕を。

100。何だっていい、区別が必要なんだ。

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148 :シエン・グランツ(小説版オリジナル)
2013/03/02(土)23:24:07


 聞こえるか。

そうだ、お前の主だよ。
だが残念ながら話が変わった。お前の主の顔と記憶を有しているが______・____じゃなくなってね。何だ、それはどうしてだと?お前が知る必要はない。いや…僕が自ら語らずとも知れてしまうのがお前だろう。
それが役立たずのお前にできる、与えられた役目と技能だ。

ああ、そんなことだけを云いに来たわけじゃあない。

そう、引き続きお前は『誰にも見つからないこと』だ。
勝手に好きなところをうろついていろ。だが決して何者にも捕まってはならない。



(『名』がないのは少し不便だ。)
(今更アレを名乗り続けるのも気が進まない。)
(安直だが、仮ということでそうしておこう。)

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149 :シエン・グランツ(小説版オリジナル)
2013/06/27(木)17:45:57



さあ、僕が僕である為に必要なものを、集めにゆこうか。



さて、手の指で収まる程度だが。

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150 :シエン・グランツ(小説版オリジナル)
2013/07/13(土)16:15:35

(此処から先は、少し寄り道だ。)
(ああ、そうだね、作り話ということでいいよ。)


僕が僕になるための忘れものを探していた時さ。
大体は記憶通り──いや、記録通り、といった方が正しいか。縁あるところに点在していた。



崩れ落ちた宮、荒れ果てた部屋の中、かつて持ち主を住まわせていた場所だ。
しかし僕の知る記録の中にないのだ、この空間の映像が。
だがなぜか保護されている記録の中にあるこの部屋で、求めていたかけらを拾い上げたとき。その理由は明確になった。


ああそうか、大事に『しまわれていた』のだと、

誰にも見せないように、触れられないように、自分と縁あるところとはほど遠く見せかけたこの場所に、
もっとも大事な、「彼」がどんな研究成果や道具よりも失うことを恐れた形なきものが。

僕の記憶ではない。けれど少し傷んだ。
ハハハ、心なんてないと言ってくれるなよ、喩えだ。

今頃は仲良く__で昔話に華を咲かせているかい?
つまらない揶揄も単純なこれで精一杯だな。
笑えるかい?笑えないよ。
お前の本気の半分でも、僕は持てるのかという懸念が生まれた。
不可能かもしれないな。


(残ったのは当事者だけが培った、歳月という記憶)

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