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┗3055.‐mement mori‐(1-3/3)

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1 :砕蜂
2012/02/06(月)23:00:48

死を想え。
常に付き纏うそれを、忘れるな。

本来は芸術関連に用いられる言葉のようだが、私にとっては自戒の意味をもつ。

この綴りの名は、愚かな自分への戒め。


(忘れるな、)
(私に寄り添うのものはただひとつ)

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2 :砕蜂
2012/02/06(月)23:25:04

あの方──夜一様に出会って、私はこの方の為に生きようと決めた。
その夜一様が─理由はどうであれ─私をおいて現世へと行ってしまわれたとき、私は他人の為には生きるまいと決めた。

以来、私は私の為に生きてきた。
それで良いのだと、間違ってはいないと。そう思っていた。


それなのに、何故。
たった一夜を共にした男のことなど思い出す?

気まぐれに相手をした男など、この百年だけでも決して少なくはない数だ。
そのどれもが既に忘却の彼方、一瞬たりとて思い返すことはない。

それなのに、何故。
彼奴のことは、彼奴の言葉は消えないのだ?


──この私を、たった一人で揺るがした男。


私は彼奴をも、忘れることができるだろうか。

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3 :砕蜂
2012/02/15(水)15:14:50

彼奴からの連絡が途絶えて、幾日か。
蝶に言葉を預けはするものの、籠から出せぬまま日は過ぎる。

“縛りつけるつもりはない”
そう言った彼奴の言葉に嘘はなかったらしい。
それは、私とて同じこと。彼奴が他へ行くと言うならば、何処へでも行くが良い。

例えるならば奴は、風。

悪戯に私の心を吹き抜けていく。
そんな奴を、縛りつけてなどおける筈はない。──繋がっていたい、などと告げられよう筈もない。

故に、これで良い。
そうしても、私は存外大丈夫だ。

ただ、彼奴のことを忘れることはなかろう。
暫く思い出として、抱えていよう。


(言霊を託した蝶は未だ籠の中)
(飛び立つ日は、来ない)

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