一度だけの。

4 :ウルキオラ・シファー
2012/02/29（水）23:18:03

>月のない夜

空に吐き出す息は白くそれでいて頼りなげで、掴めるはずもないままゆらゆらと消えていく。
目を閉じれば不安定な世界が広がっているが、そこから眠りの底に落ちるにはどうにも時間がかかる。
それは俺がまだこの目を開けていたいからなのか、夜が俺を拒否しているのかは分からん。
ただ俺はこのまま落下して、深い深い眠りの底へ沈んでしまいたい。
右も左も上も下も分からない暗闇の中を、深海魚のように宛もなくただ自分の本能のまま彷徨えば、そこからはきっと『なにか』が見えるのだろう。

その『なにか』は。
俺がどこかに落としてきた『なにか』だろう。

(この眼に何を映すのか)

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